メゾン マルジェラ(Maison Margiela)の2017年春夏メンズコレクションが、フランス・パリで発表された。
現代社会における男性の役割とは何か。この問いへの答えを導き出す今シーズン。オーセンティックなツーピースのスーツには、制作過程の仮縫いを想わせる細く白い糸でエンブロイダリーが施されている。シャンブレーやシルクのシャツは、肩周りなどにスナップボタンを配してトランスフォームできるような仕立てだ。これらは男性の美しさを過去より表現してきた、典型的な正装へのスポンテニアスな遊び心である。
ともに垣間見えるのはブランドの真髄。幾つもの見方ができる洋服には、ファッションにおけるデザインの価値を問う、ブランドが築き上げてきた概念が組み込まれているようにも思う。
アウターには、爽やかなサマーツイードのチェスターコートや伝統的なトレンチコートが挙げられる。なだらかな肩とビックシルエットが特徴的で、古典的な男性像を紡ぎだすアイテムでありながらも、斬新なディテールで現代風に再解釈されている。
また、コレクションの中には「RE-EDITION」のタグが添えられたアーカイブアイテムも登場している。タグに綴られたのは洋服のプロフィール。これもまた、変わらず大切にしてきたものを蘇らせながら、今の男性たちに真の美しさを問う上でのひとつの形なのかもしれない。
今季の洋服の中には、これまでに見出したオリジナルとされる服が本来持つ由来や文化、歴史といった様々なエレメントが眠る。伝統を守りながらも革新的な何かを歓迎すること。それが現代の男性たちが身に付けるべき洋服の在り方を示唆しているのではないか。