ジバンシィ バイ リカルド ティッシ(Givenchy by Riccardo Tisci)が、パリファッションウィークで2012年春夏コレクションを発表した。今回コレクションを通して感じられるのは、マーメイド、サーファー、シーアニマルといったウォーターワールドからのインスピレーション。これまで頻繁に登場したダークな色調から一転、軽やかな優雅なエレガンスを感じさせる、ロマンティックな雰囲気で満たされている。また、典型的なフランスの女らしさもイメージし、ソフトな中にわずかにマスキュリンなテンション加えた。カラーパレットはピンク、サーモン、クリーム、ベージュ、カーキとニュートラルなカラーが続く中、時折ブラックがこのクリーンなパレットを打ち壊すかのように登場。
エレガントに揺れ動くラッフルジャケットやスカート、ドレスは水面をゆったりと漂う波のよう。海に沈む夕日は、スパンコールのパンツスーツにきらめくグラデーションで表現された。バックスタイルのデザインも凝っていて、モデルが去りゆく最後の1秒まで目を奪われる美しさは、その美貌で人間を惹きつける人魚のそれにすら値する。
フィッシュスケールをイメージしたルックでは、オートクチュールでも多用されているシフォンやレザーのカットアウトを、スパンコールのようにレイヤーする手法を採った。また、シャーク、シーウルフ、サーモンなど、これまであまり衣服に用いられることのなかったレザーを使用することで、レザーの新境地を切り拓いた。様々な質感を持つこれらのレザーは、繊細なシルクシフォンやコットン、ジャージー、ライトウールなどと組み合わせることで、そのコントラストがさらに強調されている。
全ルックにおいて使用されているクロームメタルのスパイクヒールは、巨大なサメの牙をかたどったゴールド、またはシルバーのネックレスに共鳴し合い、コレクションに輝きを添えていた。
青白くほんのりと光るランウェイに登場したルックは、深海から見上げた太陽光のベールようにどこか神秘的な魅力を放ち、洗練されたセンシュアルな魅力をのぞかせたコレクションだった。