2011年10月19日、新ブランドJENNY FAX(ジェニー ファックス)が2012年春夏コレクションを発表した。
舞台にずらりと並んだモデル達が、甘い音楽と共に花のアーチをくぐってやって来る。 あどけなさを残したメイクに、真っ赤なまつげで背伸びした彼女達がまとうのは、白シャツと紺のプリーツスカート、白の三つ折り靴下、そしてローファーというスクールガールスタイルがベースのデビューコレクション。
前から見ると典型的な制服姿でも、スカートの後ろ半分がシースルーで、多きな眼がプリントされた白いブルマが露になり、少女の中の抑制された内面性が浮かび上がる。白のシルバーの水玉がきらめくチュールのドレスは、デザイナーであるシュエ ジェン ファン自身もかつて夢見たプロムクイーンからのイメージ。胸元には大好きな少女漫画のヒロインが微笑んでいる。
白シャツにサテンのゴージャスなスカートを合わせたり、レースをほどこした巨大なパフスリーブのトップスに紺のスカートを合わせたり、制服の上からチュールのドレスを重ねたりと、少女の日常と夢が重なり合う様子は幻想的だ。
コレクションには、台湾で生まれ育ったデザイナー自身が少女時代に経験した、アメリカや日本の文化からの影響がミックスされ、反映されているという。そして、女子中高生達の内面だけでなく、彼女達の人間関係の複雑さまで描こうとしたと彼女は語った。
人形を抱き、厚底ラバーソールブーツを履いて現れたのは、デザイナーの実の妹。彼女はJenny Faxというブランドの象徴でもある。とりたてて美人というわけでも、背が高いわけでも、痩せているわけでもなく、どこにでもいるの普通の女の子。彼女のKISS風メイクや甲冑のような衣装が物語るように、心の中に頑なに想いを秘めている。そんな普通の子達こそ、自信を持って個性を発揮していってほしいというのが姉であるシュエ ジェン ファンからのメッセージだ。