サンローラン(Saint Laurent)は、パリ・コレクション初日の017年2月28日(火)に2017-18年秋冬コレクションを発表。同コレクションは、新クリエイティブ・ディレクターのアンソニー・ヴァカレロによるメンズコレクションの本格的な公開でもあった。(前回のデビューショーではわずか1体だったため)
全106体にも及ぶ力強いピース。ドレス、ジャケット様々なスタイルのウィメンズの最新ルックに続く形でメンズウェアが公開され、フィナーレにかけては、惜しげもなくストーンを全面に配したダイヤモンドルックがメンズ・ウィメンズ連なる形で披露された。いずれも共通するのは、クチュールとストリートの融合と、アンソニーが得意とするアンバランスなモノづくりである。
キーワードは、アビエイター ジャケットやサファリジャケットなどに代表されるミリタリーテイスト。ソフトで着心地のよいレザーを用いたアウターが、ボディコンシャスなドレスやスカートとスタイリングされている。レングスは変わらず極短のマイクロミニで、アクセントには、男女ともにブーツがセレクトされた。ウィメンズは太ももまであるサイハイブーツを、メンズもロングブーツをルーズソックスのようにくしゃくしゃとさせている。また、ミリタリーの着想から派生したレザーグローブも印象的に差し込まれた。
アンソニーが好む、元々あったものを壊して作り出すアンバランスさ。この発想が、シャンティレースブラウスやベルベットトップスに取り入れられたバルーン型のアームやドロップドショルダー、ワンショルダーを作り出した。また、メゾンに伝わるフリルのディテールも過度にデフォルメされ、ベアドレスやマイクロミニスカートの上を走るように巨大なフリルがあしらわれている。80年代を想起させるスクエアパッド、胸まで大きく開いた大胆なカッティングドレスなど、メゾンに伝わる歴史も漆黒のベルベットを用いて、モダンに蘇らせた。
着こなしは、ディウェアとドレスが照らし合わせるように組み合わされ、デニムやクルーネックニットがエレガンスと交わっている。フィナーレにかけて登場した、ケーブルニット風のトップスはその最たるもので、ダイヤモンドピースを幾何学的に並べるクチュールの技法を用いてラフなデザインが構築されている。