ヴァレンティノ(VALENTINO)の2025-26年秋冬コレクション「ル メタ テアトロ デ アンティミテ(LE MÉTA-THÉÂTRE DES INTIMITÉS)」が、フランス・パリのアラブ世界研究所にて発表された。
アレッサンドロ・ミケーレが手掛ける2回目のプレタポルテショー。“親密さのメタ劇場”と名付けたこのコレクションでは、公私間の隔たりを探求。そもそも隔たりがあるのか疑問視した。
内に秘める本当の自分と、外見や演出には隔たりがあるのだろうか?ミケーレの答えは「ノー」である。「真の親密さ」とは、内と外、隠されるものと露になるもの、プライベートにされるものと共有されるものといった二元性を内包する“曖昧な境界線”だと考えるからだ。
「相反する要素がひとつになる場所」というイメージから、パーソナルとパブリックが共存する“ジェンダーレスの公衆トイレ”のセットが今季の発表の舞台に。メゾンのシンボルカラーであるヴァレンティノ・レッドの光に包まれた会場では、カジュアルなデニムスタイルから壮麗なオケージョンスタイルまで、多彩なルックが登場した。
全体を通して、70~90年代を感じさせるファッションが散見された。クラシックなスーツから、レトロな趣のファーコート、リボンで飾られたガウンやデイドレスまで、ミケーレの“お気に入り”を現代の服へと再解釈。ヨーロピアンヴィンンテージを思わせるロマンティックなデザインに加え、デニムにチューブトップというY2Kルックもコレクションを彩った。
そんな中でも注目したいのは、ランジェリーを思わせるスキンコンシャスなアイテム。総レースのボディスーツやストッキング、ヌーディーカラーのブラ、艶やかなサテンのドレスなどを用いて、下着が持つ官能性やロマンティシズムを表現。そこに、大ぶりのアクセサリーやサングラス、トップハンドルのバッグを組み合わせることで、プライベートな装いを“外行き”仕様に昇華している。
マキシマリスト的なタッチがふんだんに盛り込まれているのも印象的だ。エレガントな薔薇のモチーフをはじめ、大ぶりのリボンやフリル、ビーズ刺繍、ねじれた結び目のディテールなどで洋服を華麗にデコレーション。誇張したペプラムやパワースリーブのシルエットも相まって、装飾的かつラグジュアリーなムードが漂っている。
ミケーレの特徴である、色と柄の遊びも決して忘れてはいない。各洋服には、エメラルドグリーンをはじめ、コバルトブルーやテラコッタ、ローズピンクなど、会場のレッドの光に引けを取らない鮮烈なカラーを採用。レオパードやチェック柄、2025年春夏のオートクチュールコレクションで登場したダイヤモンドプリントとの組み合わせで、独創的なインパクトを残した。