ザ・リラクス(THE RERACS)の2017-18年秋冬コレクションは、BDU(Battle Dress Uniform)をテーマに、ミリタリーに見られる全天候対応型システムのセブンレイヤードの仕組みにインスピレーションを受けた。
ミリタリーの定番であるモッズコートは、本格的なM65の仕様を踏襲しながらシルエットにこだわった。パターンの調整によって重力を味方にして形成される美しいシルエットは、正面から見るとストンと納まるが、サイドから見るとまるで羽根が生えたかのように軽やかに広がる。その裏には、ウールのボアと発熱性をもつ機能素材を組み合わせた、ベストとしても着用できるライナーを備えている。ミリタリーアイテム特有の無骨さと重厚感に、上質な素材感が合わせられることで、ある種“新しいジャンルのアウター”が誕生している。
同じくジャンルを超えたものとして、アノラックパーカーも今シーズンのトピックとして取り上げたい。フラットな前身ごろに大きなフラップが横断するボックス型、独特のハリと光沢感をもつスーパー140というウールの素材。これらが相まって、本来アウトドアのジャンルに属すであろうアノラックパーカーが、洗練されたクリーンな印象のジャンルレスなアイテムをなっている。
スタイルを形成する上で、今季のテーマが見えてくる。こうしたアウターの下には、タートルネックだけでなくジャケットやシャツまでもをレイヤードしている。肌を丁寧に覆い隠すように、重ねたアイテムはすべて着脱が用意であるようなボタンやジッパーが装備されている。
重ねているからと言って堅苦しくなったりすることはなく、特にボトムスはすべてがゆるいシルエットで、ウエスト部分は紐で括るイージータイプのカーゴパンツやスラックスが主軸。なかでもスラックスは、特殊加工を施したギャバジンの効果で独特のハリや緊張感は逃さず、身に着ける人にはリラックスムードを与えるという日常に寄り添う1本だ。
2.5年周期でクリエーションを見せているザ・リラクスが、みせた今季は“葉”のシーズンである。スポーツ、アウトドア、ミリタリーというブランドのクリエーションのベースである要素が枝分かれし、入り乱れるように展開させた2017年春夏からの発展を想った。花咲く日まであともう少し。このストーリーが完結するとき、また新たなザ・リラクスの1歩がみえてくることだろう。