インド発の法廷映画『裁き』が、2017年7月より、渋谷・ユーロスペースほか全国の劇場で順次公開される。
本作は、“自殺を扇動する歌”を歌ったという不条理な容疑で逮捕された歌手と、彼の運命を握る裁判官、検事、弁護士が織りなす法廷攻防、そしてそれと並行する彼らの私生活を、独特の視点とカメラワークで描いた異色の法廷劇。
監督は、ムンバイを拠点としながらもボリウッドと一線を画し、独自のスタイルで作品を作り上げているインドの新世代監督チャイタニヤ・タームハネー。米経済誌フォーブス「アジア エンターテインメント&スポーツにおける30歳以下の30人」、米業界誌ハリウッド・レポーター「世界で最も将来が期待されている30歳以下の映画監督の一人」に選出されるなど、世界の映画界に新風を巻き起こしている監督の一人だ。
インド独自の社会システムを背景に、国家権力などの問題にも踏み込んだ本作でも、階級、宗教、言語、民族など、複雑な社会環境の中に身を置いている彼らそれぞれの日常と、法廷の中での一つの裁きが多層に重なっていく複雑な人間ドラマを、ユーモラスかつ洞察力に富んだ視点で描き出している。
なお本作は、ヴェネツィア国際映画祭で2部門を受賞、アカデミー賞外国語映画部門でもインド代表として選出されている。
【作品情報】
映画『裁き』
公開時期:2017年7月 ユーロスペースほか全国順次ロードショー
監督・脚本:チャイタニヤ・タームハネー
プロデューサー:ヴィヴェーク・ゴーンバル
撮影:ムリナール・デサイ
編集:リカヴ・デサイ
音楽:サンバージー・バガト
出演:ヴィーラー・サーティダル、ヴィヴェーク・ゴーンバル、ギーターンジャリ・クルカルニー、プラディープ・ジョーシー
原題:COURT
【ストーリー】
ナーラーヤン・カンブレ、65才、歌手。罪状は自殺を煽る歌を歌ったこと―ある下水清掃人の死体が、ムンバイのマンホールの中で発見された。ほどなく、年老いた民謡歌手カンブレが逮捕される。彼の扇動的な歌が、下水清掃人を自殺へと駆り立てたという容疑だった。不条理にも被告人となった彼の裁判が下級裁判所で始まる。理論的で人権を尊重する若手弁護士、100年以上前の法律を持ち出して刑の確定を急ぐ検察官、何とか公正に事を運ぼうとする裁判官、そして偽証をする目撃者や無関心な被害者の未亡人といった証人たち。インドの複雑な社会環境の中で、階級、宗教、言語、民族など、あらゆる面で異なる世界に身を置いている彼らのそれぞれの私生活と、法廷の中での一つの裁きが多層に重なっていき…