ファッションとデニムとの結びつきを考えると、30年代後半から50年代にかけて活躍したアメリカのデザイナー、クレアマッカーデルにさかのぼる。
クレアマッカーデルは、主に中産階級に向けてデザインをしていたので、”ハイファッション(高級ブランド)”という表現には議論が起こるところだが、アメリカンルック(アメリカンスポーツテイスト)誕生の中心的な役割を果たす。
マッカーデルは1942年、デニムを使用して、服の上からはおるドレス、ポップオーバーを打ち出し、これがアメリカで大ヒット。その他にも、デニムを使用したデイドレスなどエレガンスな要素を加えたファッションを打ち出していった。
デニム素材のことに関して言えば、若者のカルチャーが有名だが、クレアマッカーデルのように、別のルートからの流れもあり、40年代あたりから徐々に、ゆっくりではあるが、アメリカのファッションに取り入れられ、お洒落なアイテムとしての地位を築いていた。
60年代、高級ファッションの中でもデニム生地をこよなく愛用するデザイナーが出てくる。イヴ・サンローランだ。彼は次のような言葉を残している。
「ジーンズを私が(最初に)世の中にだすことができなかったことが残念でならない。」
1970年頃、イヴ・サンローランはデニム素材をプレタポルテのコレクションに使用し始める。こうして70年代には、デニム素材のパンツスーツが、ハイファッションの中でも普及していく。
1976年 カルバン・クラインがコレクションでジーンズを取り上げる。
1981年 アルマーニから「アルマーニジーンズ」が発表
1982年 ラルフローレンから「ラルフローレンジーンズ」発表
1985年 キャサリンハムネット、「デストロイジーンズ」発表
1986年 モスキーノから「モスキーノジーンズ」発表
1988年 ポールスミスから「ポールスミスジーンズ」発表、またこの年、マリテフランソワジルボーが「ソスパンド」を発表
1990年 ヴェルサーチから「ヴェルサーチジーンズクチュール」発表
1997年 ヘルムート・ラングから「ヘルムート・ラング・ジーンズ」発表
1998年 イヴサンローランから「サンローランジーンズ(後にサンローランに改名)」発表
2000年 アレキサンダー・マックイーンが「バムスター(半尻)」ジーンズを発表し話題となる。ジャーナリストからは酷評される
第9章、デザイナーズジーンズの登場