■コンフィチュールに対してのこだわり
ショコラだけではなく、デザート全般が大好きと語るデュラン氏は、ショコラだけでなくコンフィチュールも銀座店で展開している。「フランスでは朝食やデザートの時によくコンフィチュールを食べます。私はプロヴァンスの果物の華やかな風味をコンフィチュールで表現したいと思って、コンフィチュールを作ろうと考えました。多くのコンフィチュールは砂糖で甘みを出しているけど、私のコンフィチュールは完熟している果物しか使わないから、必要最低限の砂糖しか使っていない。果物本来の味を残すために果物の粒も入っているから、フレッシュな味わいです」。
コンフィチュールを通じて、プロヴァンスの果物の良さを伝えたいと語るデュラン氏のコンフィチュールは、ショコラに負けないほどの旨さである。
そしてデュラン氏は、おすすめのコンフィチュールの食べ方を教えてくれた。「コンフィチュールはヨーグルトやチーズなどと一緒でも非常に美味しいです、鴨肉との相性もとっても良い。また日本人がよく食べる豆腐は、香りの強いコンフィチュールとの相性が非常にいいので、是非試してみてください」。
■銀座店を通じてプロヴァンスをより多くの人に伝えたい
銀座店はジョエルデュランが海外に作った初めての路面店。銀座店に対するこだわりを最後に聞いてみた。「空間デザインは新横浜ラーメン博物館等を手掛けた相羽高徳さんが手がけてくれて、プロヴァンスの空気が感じられる店舗になったと思います。2階にあるカフェは、長時間太陽で照らされている、プロヴァンスのオープンカフェをイメージした色を使い、開放感を感じられるようにしてあります。プロヴァンス本店は昔ながらの石灰岩を使っているのですが、それをモチーフとした石灰岩のデザインを取り入れたので、日本とプロヴァンスの融合を実現できたと思います。このお店を通じてもっとプロヴァンスの魅力を多くの人々に伝たられたらいいですね」。
終始真摯な口調でインタビューに答えてくれたデュラン氏。今回のインタビューを通じて、「プロヴァンス素材とカカオのマリアージュ」に対する彼のこだわりに驚かされた。プロヴァンスに対する愛情を深く感じ取ることができた。代表作のA~Zのショコラは、ショコラでメッセージを作ることも可能と聞き、インタビュー後に「もうすぐでヴァレンタインですが、奥様に何かメッセージはありますか?」と聞いてみた。すると笑いながら「妻への愛のメッセージは毎日送っているから、ヴァレンタインだからといって特別には送る必要はないですね」と答えてくれたのが印象的だった。