ジン カトウ(ZIN KATO)の2018年春夏コレクションが、2017年10月21日(土)に東京・渋谷 ヒカリエで発表された。
テーマは、「グラム・バロック」。これはグラムロックとバロックを掛け合わせた造語だ。グラムロックは、60〜70年代のめまぐるしくエネルギーに溢れていた時代に生まれたムーブメント。デヴィッド・ボウイが代表するような華やかな衣装とメイクは、音楽やファッションに影響を与えた。そして、”歪んだ真珠”を意味するバロックとは、安心感のある美よりはむしろ、過剰なアンバランスさの中に潜む美を指す。今シーズンは、刺激的なまでに異彩な美しさを放つグラムロックの世界観に、バロック的な不安定さを組み合わせた。
ショーの始まりとともに会場は、オペラ歌手によるバロック音楽の重厚で神聖なムードに包み込まれた。まるで社交会の貴婦人たちのように、煌びやかなルックに身を包んだモデルたちが登場。ジン カトウらしい繊細でロマンティックな素材やディテールで、バロックファッションを表現した。
「足し算の服作りをした。」とデザイナー・加藤徹が語ると通り、過剰なほどのアクセサリーや、細かなレース、フリルがルックを優雅に飾り付ける。純白のレースが美しいファーストルックのドレスは、シルエット自体はミニマムに抑え、まるでドレスの一部のようにも羽織のようにも見えるボリューミーな装飾を施した。ガウンのようなコートには、襟元や裾にたっぷりとフリルを。それがさらにスカートのフリルと重なり歩くたびふわりと揺れる。
一方で、そんな華やかな装いの中にはグラムロック的なエッジーさや官能性が合わさっている。ふわりとフリルで飾られたドレスも、腰元はチェーンやレザーを使った太めのベルトでキュッと絞って。また、シルエットや装飾は優雅でありながら、パープルとブラックやシルバーなど刺激的な色使いを採用している。さらに、コートから露出した鎖骨や網タイツには、ロックな官能性を感じさせる。