サルバム(sulvam)の2018-19年秋冬コレクションが、2018年1月14日(日)にイタリア・ミラノで発表された。ブランドにとって2回目のミラノファッションウィーク。純粋なメンズブランドであったサルバムが、今季、思考したのはジェンダーフリーということ。「女性が男性の服を着た時の美しさとは。」その解明を示したシーズンである。
まず、デザイナーの藤田はジェンダーフリーを考察するにあたり、提案したのはオーバーサイズのトップス。大きすぎるシャツは、絶妙な肩のヌケをつくり、肌と空間があるからこそ生まれるドレープ感を持ち合わせる。アウターは、バックスタイルに丸みが生まれ、通常では生まれないはずの立体感をもち、ビックサイズのラメ入りリブニットは、ラフな着心地から着飾らない良さを導きだす。女性モデルの採用はそれらを体現するとともに、身に着けることで中和され、優しさをともなうことを証明した。
また、今回は前シーズンよりも、荒々しさを抑えた印象を受ける。とはいえ、裾は切りっぱなし、縫い目のズレは当たり前。さらにパターンの組み合わせはまるでパズルのよう。文章を書き殴るかのようにその時の気持ちを率直にぶつける、“精緻な”デザインが今季も健在であることは間違いない。
スーツやコート、さらにレザージャケットに至るまで、おおかたポケットの位置がバラバラだし、裏地は剝がれ、垂れ下がり、縫い代は飛び出ている。しかし、裏地の光沢感を見せることで、ある一種の上品さを生み、ミシンで縫った後にするはずの糸始末をせず遊ばせることで、一種の繊細さを取り込んでいる。ランダムなステッチやパッチワーク、そして結び目が装飾として登場している。何か別のものを単純に取り込むわけではなく、そこにあるものにアレンジを加えて見せるサルバム流の装飾が今シーズンもスパイスになっている。