サルバム(sulvam)の2025年春夏コレクションが、東京ファッションウィーク期間中の2024年9月6日(金)、文化服装学院にて発表された。
3年ぶりに楽天支援のbyRにより、東京コレクションへ参加したサルバム。舞台となるのは、デザイナー・藤田哲平自身が卒業した文化服装学院だ。年の半分をパリで過ごす藤田にとって、日本の学生はインターンシップや現場経験が圧倒的に少ないことを実感。“学生たちに早く現場スキルを身に着けてほしい”との思いから、文化服装学院の学生と協働し、7月に発表したコレクションを主軸としたランウェイショーを実施した。
100名以上の学生と関わる中で、改めて初心に返ったという藤田。ファッションは自由だ——。ひたむきに服作りを行っていたあの頃を回顧するかのように、より多彩な素材や、自由な発想のもと生まれたパターンを採用したスタイリングを展開する。
例えばアイコニックなテーラリングには、陽気なムードのアロハシャツを合わせ、日常と非日常という2面性を呼応させた。ステッチを施したデニムのセットアップや、不規則に丸くカットされたニットなど、メンズのリアルクローズにも遊びを効かせ、相反する要素を繋ぎ合わせているように見えた。
軽快なリズムを感じるウィメンズルックも見逃せない。花や植物のボタニカル刺繍をあしらったスカートや、ペイズリー柄セットアップ、肩から斜めにフリルを配したワンピースなど軽やかな素材を用いているのが特徴的だ。またランウェイでは、外付けポケットや裁断しっぱなしの裾、垂れ下がった糸といった、サルバムらしい"未完成"なディテールも散見された。
カラーパレットは、ブラックやホワイト、グレーのモノトーンが中心。時折、ブルーのタイダイ染セットアップや艶やかなゴールドのツイードパンツ、学生6名と制作した鮮烈なレッドのテーラードジャケットが差し込まれ、コレクション全体にアクセントを加えていた。「デザインのこだわりは線に出る」と語るパタンナー出身の藤田から、次世代へと継承される“服作りの流儀”に今後も注目していきたい。