ファンダメンタル(FDMTL)の2025年春夏コレクションが、2024年6月11日(火)に東京・四ツ谷のIMAGE STUDIOにて発表された。テーマは“Can’t remember”。
ブランド20周年を記念し、ランウェイショーを決行したファンダメンタル。節目を告げるランウェイでは、アーカイブのパターンや生地をアレンジしたルックが出揃った。たとえばブランド創業時より大事にしているインディゴのワークウェア。デニムジャケットにカーゴ風のハーフパンツを合わせるなどして、これまでの総集編としてのルックを展開した。
アイコニックなパッチワーク使いも健在。インディゴ特有の色落ちやアタリ感など、経年変化を楽しめる生地を複数合わせ、格子状にステッチをあしらったテーラードジャケットとパンツのセットアップがその好例だ。
シルエットは総じてゆったりとしたビッグシルエットに。中でもシグニチャーアイテムの1つ、羽織タイプのジャケットは、ゆとりのあるロング丈にアレンジ。ロングジャケットの下には、着物のような前立てが特徴のデニムシャツをレイヤードするなど、リラクシングなオーバーサイズのアイテム同士を組み合わせた。
インディゴのルックが揃う中、目を惹いたのは深みのあるネイビーのレザーを使用したライダースジャケットだ。未だ手を加えられていないインディゴのように深みのある色合いで、静かに、しかし確かな存在感を放つ。ややオーバーサイズなジャケットの下には、時の経過を感じさせるようなオリジナル柄のトップスを合わせている。
20年の節目という特別感をより一層盛り上げるのは、再登場を果たしたニューエラ(NEW ERA)やアウトドアプロダクツ(OUTDOOR PRODUCTS)といった、これまでコラボレーションしてきたブランドによるアイテムたちだろう。耐久性の高い肉厚インディゴジャカード生地を使用したベルトポーチや、ファンダメンタルが所有するアンティークの襤褸(ぼろ)生地をスキャンしたプリントを用いたリュックサックなどのアイテムは、20年の軌跡を振り返ることのできる要因として一役買っている。
20周年という記念すべき年にショーを開催するにあたり、デザイナーの津吉学が思い起こしたのは、20年以上前に訪れたとあるバンドのライブであった。今やそのバンド、the band apart(ザ・バンド・アパート)のファンとなった津吉だが、当時は会場後方でぼーっと眺めていたという。そして記憶の中のその光景は無音。始めは何も思い出せなかった。今回のショーでは、煌びやかなライブの世界と、自分が感じた疎外感にも思える感情などすべてをひっくるめて思い返し、ランウェイとともにバンドの生演奏やインディゴの布で覆われた会場演出によって当時の空気感を表現した。