ミスターイット(mister it.)は、2025-26年秋冬ウィメンズ&メンズコレクションを2025年2月14日(金)に東京にて発表した。
前シーズンに続いてプレゼンテーション形式にて発表された2025-26年秋冬コレクションでは、ミスターイットのコンセプトである「日々のためのオートクチュール」=“HAUTE COUTURE FOR EVERYDAY LIFE”の“EVERYDAY”の部分にフォーカス。「テーブル(table)」をコレクションのタイトルに掲げ、日常になじんでいくような色合いと、日々の暮らしの中で光を放つディテールを備えたウェアを揃える。なお、これまでのシーズンと同様に、各アイテムには着想源となった人々の名前が付けられている。
プレゼンテーション会場にはテーブルを設置し、まるでホームパーティーに訪れたかのような空間に。ランウェイに登場したモデルがデザイナーの砂川卓也にショッパーバッグを手渡したり、脱いだアウターをラックにかけたり、はたまた靴を脱ぎスリッパに履き替えたりと、よそゆきの特別感と日常の空気感が交差するようなムードを描き出した。
注目したいのは、温かみのある素材使い。襟を二重に仕立て、可動域を広げたテーラードジャケットには、起毛感のある柔らかな風合いのチェック地を採用。インディゴデニムとコーデュロイを組み合わせたフレアパンツには、製品染めを施すことで穏やかな色味を生み出している。また、フードを付け襟のようにして配したニットフーディや、ざっくりとアーガイル柄を編み込んだ手編みのマフラーもまた、ウォーミングな雰囲気を後押ししている。
“バッジ”もチェックしたいポイント。オレンジのライダースジャケットには、服地と同じ色で統一したバッジをたくさん並べて、洗練された佇まいの中にさりげない遊び心をのぞかせた。また、パフィな中綿入りのシャツジャケットには、ミスターイットの服を取り扱うショップの名前や、ミスターイットのオープンフィッティングに関わったブランドの名前を入れたバッジを前後にレイアウト。ミスターイットと関わってきた人々への感謝の思いが込められている。
ミスターイット 2025年春夏コレクションにおいても目を引いたトレーンのディテールは今季も散見されている。クラシカルな表情のトレンチコートはフロントの丈をショート丈に仕立てることで、長く後ろに伸びるしなやかなトレーンの躍動を際立たせた。雨が降っても傘を差さず、颯爽と街中を駆け抜けていくときの風になびくコートの様子を表現している。
また、大きなマチ付きポケットをあしらったシャツドレスや、ヴィンテージのシルクスカーフをパッチワークしたアイコニックなデザインのベストもまた、軽快に揺れ動くトレーンが余韻を残していく。
トレーン以外にも動きのあるディテールが登場。中心にボタンを並べたスカートは帯状のパーツを連ねた構造で、歩を進める度に快活な動きを見せる。さらに、袖に大きくスリットを施したブラウスや、斜めに生地が流れていくバイアスカットのアシンメトリーシャツなど、身にまとい、動くことでエレガントに見えるウェアが印象的だ。