メゾン マルジェラ(Maison Margiela)の2018-19年秋冬メンズコレクションが、フランス・パリで発表された。
2018年秋冬シーズンは、今までウィメンズとアーティザナルコレクション(オートクチュール)の2つのクリエイティブ・ディレクターを務めていたジョン・ガリアーノが本格的に手掛ける初のメンズコレクションである。
アーティザナルコレクションを原点としたメゾンのクリエーションの想いを、すべてのラインに浸透することができるようになり、ブランドにとっては契機ともいえる。今季は、もっとも近く発表されたアーティザナルコレクションである17年秋冬シーズンのコンセプト「シナジー」がタイトルとなった。近年、ジョンガリアーノが発表してきたくり抜く、繋ぎ合わせる、切り裂くという3つの技法を駆使し、ウィメンズにしかないオートクチュールという分野をメンズにも呼び込んだ。
何気ないものを誇張することで、その本質を強調するというのは、メゾン マルジェラの美学でもある。光による陰影を大袈裟に描いたコートは、全てにおいてデフォルメされたデザインが作り出す男性らしさが、逆説的に女性らしさも引き出している。誇張するだけでなく、縮小することで、ジャケットやブルゾンはシャツのような役割を担うことになっているが、それもまた、あるひとつのものに新たな意味を持たせるというニューグラマーの意にそうデザインだ。
インサイドアウトの技法もまた、マルタン・マルジェラから続く手法だが、彼はそれをくり抜く=デコルティケという技で継承している。ダウンジャケットは、シームだけを残したファージャケットが周りを取り囲んでいる。ボンバージャケットは、トレンチコートの形でエレガントに、アランニットはシームだけになったトレンチコートを重ねたカーディガンコートへと転換させた。もうひとつのガリアーノらしい表現、彼が得意とするバイアスカットのジャケットは、テキスタイルの特性がゆえ、独特の落ち感があり、美しいドレープが流れる。
マッキントッシュ(MACKINTOSH)とのコラボレーションは前シーズンから引き続き、後ろにはブランドのシナジーを表すマークがくり抜かれた。新たなブランドの1ページに欠かせないこのロゴは、シューズなどに、まるでブランドロゴのようにもあしらわれている。