グッチ(GUCCI)の2018-19年秋冬ウィメンズコレクションが、ミラノ・ファッション・ウィーク2日目の2018年2月21日(水)に発表された。今季もメンズとの合同ショーである。テーマは「サイボーグ」。
アレッサンドロ・ミケーレの世界から動物たちが姿を消した。クリエイティブ・ディレクター就任以降、彼の世界を象徴する存在として用いられていた鳥、タイガー、ネコなどが隠れ、また彼が積極的に使用していたメゾンのコード(GGロゴやウェブ)も今季は控えめになっている。
代わって登場したのは「サイボーグ」というテーマにぴったりな不可思議な要素だ。ランウェイを歩いているモデルと全く同じ顔のマネキンがまるでバッグのように小脇に抱えられていたり、リュクスな素材で仕立てたドレスやコートがラップのようなシースルー素材で全面的に覆われていたり…。ニット帽には前髪風のサラサラなフリンジがあしらわれ、モデルたちの顔を覆面マスクのようなヘッドピースが覆っている。中には第3の目を持つモデルも。
モチーフが控えめになったからか、素材やシルエットで遊んでいるルックが多い。ドレスにはベルベット、ラメ地といった光沢素材や総スパンコール装飾など、キラキラと光るツールを使用。袖口や胸元にはボリュームフリルがあしらわれ、裾がアシンメトリーにカッティングされたり、アームにふわっと膨らんだボリュームスリーブを組み合わせたり、不均衡なフォルムが主流になっている。また“着るジュエリー”と称するのが相応しいオールビジューのベストも存在する。
演出、装飾、ファブリック…あらゆる面で新鮮さや変化を感じられるが、クリエーションの姿勢は変わらず折衷主義のようだ。特に今季は、野球から着想したスポーツスタイル、民族的なエッセンスの交差が激しい。
膝丈のクラシックなスカートスーツには胸元「NY」のロゴをのせた。テキスタイルには野球のユニフォームのようなストライプ地が使用され、またスカート中央にはベースボールシャツのように縦一列にボタンをあしわれている。
チャイナ服またはアオザイを解体したようなセットアップも登場。身頃には繊細な刺繍が施され“アジアの雰囲気”を感じさせるが、胸元の野球ユニフォーム風の刺繍がただの民族衣装ではないことを裏付ける。カーペットみたいなポンチョ、ターバンといったエスニックな小物も多く起用され、ミケーレの新しい世界を彩っている。