ユリウス(JULIUS)は、2019年春夏コレクションをインスタレーション形式で発表。
今季のコレクションでは、調和や秩序を良しとする風潮、排外的な“善意”に満ちた一面的な偽善の世界に対し、少年が持つ狂気のように、ある種普遍的で無垢な“悪”を提示。“優しさ”に包まれた息の詰まるような世界に対し、パブリックエネミーとして反骨精神を見せる。
目に留まるのは、フォトグラファーのSalvatore Caputoのオリジナルグラフィックをプリントした、退廃的なグラフィックのアイテム。透明感のあるカットソーに、ダイナミックな顔の像が浮かび上がるカットソーはラバー製。ラバーならではの伸縮性が生み出す生地の落ち感や緩やかなドレープが、デカダンなプリントと対比を描く。
カットソーの他、シャツやニットにもグラフィックをあしらい、シンプルなデザインの中にノイジーな摩擦を生み出していく。
表層的な固定概念に屈しない強さは、主にナイロンやコットンを酸で縮めたり、硬化樹脂を使ったりして生み出された硬質な素材で表現。背中や袖にボリュームを持たせ、オーバーシルエットに仕立てたカーキのコートは、立体感のあるフォルムと手に触れた時のタフな感触が特徴。動いたり触れたりすることで刻まれるシワ感が、表情豊かな1着だ。足元にはミリタリーテイストのブーツを組み合わせ、無骨なスタイリングに仕上げている。
一方、ジャケットの丈はコンパクトな印象だ。褪せたような色味のデニムジャケットや、パテントコーティングのブルゾン、ライダースジャケットなど、それぞれ個性的な素材で仕立てられたジャケットは、分量感のあるパンツ、レイヤードスタイル、スポーツテイスト、あえてインナーに丈の長いスウェットを着用したスタイリングなど、多彩なコーディネートをまとめる役割を担い、引き締めていく。
カラーパレットは、1980年代のコールドウェイブカルチャーから抽出。スモーキーでアンニュイなピンクやイエロー、オフホワイト、グレーがかったブラウンなどが採用されている。ボトムスの上からかぶせるように履く半身のパンツは、オフホワイトやオレンジなど、ダークなトーンに映えるアイキャッチなカラーを用意。シンプルなパンツにカスタマイズすることで、アヴァンギャルドな雰囲気を演出する。ジャケットの上からカスタマイズすると、ウエストが締まりメリハリの効いたシルエットに。その様はまるで服の上から装着する防具のようでもあり、“戦闘”の意識を連想させる。