溢れる創作意欲が生み出す、唯一無二のデザインたち

デザインについてお話を聞かせて下さい。あなたのデザインはとても斬新でいつも驚かされますが、どのように思いつくのですか？

私は遊ぶようにデザインするんです。だって楽しみながら仕事ができるのが理想的だと思いませんか？そうして、実験するように様々な素材や形を試していきます。私だけでなく、おそらくどんなデザイナーも"遊び"を取り入れながらデザインしていると思います。

私のデザインは斬新に見えるかもしれませんが、根本的には、私はシンプルなものが好きなんです。シンプルなデザインが創り出す造形美は、本当に美しいと思います。そのため、デザインする時に遊びが過ぎないように、クレイジーになり過ぎないように、時々自分を抑制してあげるんです。

アイディアが尽きることは無いのですか?

無いですね。むしろアイディアが湧いてくるのを止められないくらいです。100個くらいブランドが作れるんじゃないかと思います。寝てる時にも新しいアイディアが頭の中をぐるぐるとして、耐えきれずに起きてデザインを書き留めるなんてことはしょっちゅうあります。翌朝必ず寝不足で後悔することになるんですけどね。デザインに止まらず、新しい政策や、映画の脚本、新しい発明など、とにかくいろいろな考えが思いつくんです。

そうしてたくさんのデザインが生み出されるのですね。

はい。今ではデザインは、靴に止まらず帽子やアクセサリー、家具などにも及びます。新しいデザインは次々と生まれますが、だからといってむやみにすぐに市場に出すことはしません。時期を見て、機が熟したと思えば発表します。今後は、シューズブランドというより、デザイン スタジオとして成長していけたらいいですね。

失恋がきっかけでデザインを始めたというのは本当ですか?

そうです。失恋の悲しみを紛らわすために、音楽を聴きながらおもむろに絵を描いていて。そうしたら、メビウスの輪をモチーフとした、"mobius"のデザインを思いついたんです。誰かに形にしてもらおうと、いくつかのブランドに話を持ちかけたら、これはぜひとも自分でブランドを立ち上げるべきだと勧められたんです。失恋の辛い経験が、こうしてどんどんと成長していくようなブランドを築きあげるチャンスをくれたのです。

建築作品からインスピレーションを受けることはありますか?

はい。例えば、日本でも一番人気の"イームズ(Eamz)"は、チャールズ アンド レイ イームズ(Charles & Ray Eames)のデザイナーズ チェアーの脚部分をヒールに取り入れ、素材も同じアルミニウム製です。

ユナイテッド ヌードの靴からは近未来的な印象を受けるのですが、デザインする際はPCを使うのですか?

いいえ、毎回そうとは限りません。手でスケッチをする時も、模型を作りながらの時もあります。

ビビットな色や、アルミニウムなどの素材が特徴ですよね。それは、力強い女性をイメージしてデザインするからですか?

ええ、いつもそうですね。力強く、自信にあふれた女性をイメージします。この靴を履くことで周りの人に「それどこの靴？」と聞かれ、その人が他の人より目立った存在になってもらえれば嬉しいですね。他人との違いを恐れないでほしいと思います。

新作の一つである、"ロー・レス(Lo Res)"もまた個性的なフォルムですね。これはどのようにして生まれたのでしょう。

Lo ResはLow Resolution(低解像度)の略で、靴を3Dスキャナーに取り込んで解像度をどんどん下げていくことで、このように独特な形になります。他にも車や自由の女神などで試しました。シンプルさが魅力の製品ですし、私のお気に入りの一つです。