サンローラン(Saint Laurent)が、2020年春夏メンズコレクションをロサンゼルスにて発表した。
マリブビーチを歩みゆくモデルが体現するのは、"自由さ"だ。その着想源は、イギリスのロックバンド「ザ・ローリング・ストーンズ」ヴォーカルのミック ジャガーと、フレンチ・ポップス歌手のセルジュ ゲンスブール。メゾンらしいエレガントなスタイルを通奏低音としつつも、ロックの自由奔放さとパリジャンの軽やかさを響かせた。
ベースとなるのは、トップにジャケット、あるいはカットソーやシャツをパンツにタックインしたスタイル。しかしそのブラック・スリムタイトの張り詰めた緊張感を破るのが、カジュアルな素材感やディテールにほかならない。緩やかなカットソー1つをとっても、刺繍やシースルー、起毛の工夫が凝らされる。その首元は大きく開き、パリジャンの力まぬスタイルを表現。ブラウンのスエードジャケットやパンツ、刺繍入りのガウンなどと相まり、ボヘミアンな雰囲気を漂わせた。
また、縁取りされたショートジャケットや紋章入りのスタジアムジャンパーをはじめ、ザ・ローリング・ストーンズの脂の乗りきっていた1975年北米ツアーからインスパイアされたディテールも印象的。カットソーやシャツを纏って胸を大きくはだけたステージ風のルーズスタイルでは、サテンなどの光沢感ある素材を使用、荒々しさを見せる手前で品のある煌びやかさを留めている。