クリスチャンダダ(CHRISTIAN DADA)は、2020年春夏メンズコレクションを、2019年6月23日(日)に、フランス・パリで発表した。
“巡礼”を表す「Pilgrimage」をテーマに掲げた今季。ブランド立ち上げ10周年という節目を目前に、デザイナーの森川マサノリが注目したのは、自らの故郷・四国で行われている「四国遍路」だ。森川自ら、弘法大使の足跡を辿って88箇所の霊場寺院を巡拝し、故郷の歴史や自身のルーツを再認識したという。
開放的な空間に、重層的に響き渡った鐘の音がショーの始まりを告げた。序盤を飾るのは、ストイックな印象のブラックのセットアップ。お遍路が着る装束の合わせを思わせる、ノーカラーのフラットなジャケットや、ポケット付きハーネスでウエストをシェイプさせたテーラードジャケット、パワーショルダーなど、ミニマルながらも強い存在感を放つジャケットが登場。
組み合わせたボトムスも、軽やかなショートパンツやタイトなセンタープレスパンツといったシンプルなデザイン。研ぎ澄まされた雰囲気の中で、凛とした佇まいを見せる。
伝統的なお遍路姿である白装束・網代笠・菅笠等に加えて、今日では多くの参拝者がアウトドアウエアなどを着用していることから、アクティブなアウトドアの要素もデザインにプラスされている。 ウールの リップストップでさらに軽量化されたジャケットやパンツには、ベンチレーションを配し、止水ジッパーを斜めに走らせて活動的に。
その他にも、半身のMA-1ジャケットや、ウォータープルーフ加工を施したニットウェア、ショルダーストラップでアウターに袖を通さずに身体に固定できるディテールなどは、身軽な雰囲気を演出する。
オニツカタイガー(Onitsuka Tiger)のスニーカーには、輝くオパールカラーのロゴを配置。艶やかなブラックのアッパーに、神秘的な輝きを添える。
ペールブルーのサテンジャカードチャイナシャツや、曼荼羅モチーフの柄シャツなど、東洋的な意匠を打ち出したシャツも目を引いた。香川に伝わる独自の刺繍テクニックでを駆使したコットンシャツや、ジャカードニットの抽象的なモチーフは、四国の大地を表現している。
また、2019年春夏コレクションに続いて写真家の荒木経惟とタッグを組んだ。ブラックとホワイトのシャツを製作している。
フィナーレに登場したのは、千手観音や阿修羅。“生命を与える存在”としてのシンボリックな表現をストレートにぶつけることで、クリスチャンダダがこれまで取り組んできた「生と死」という主題を浮き彫りにした。