ラッド ミュージシャン(LAD MUSICIAN)は、2019-20年秋冬コレクションを発表。
「NEW DISORDER“新たな混乱”」をテーマに掲げた今季。着想源となったのは、東洋・西洋哲学だ。“有”にも“無”にもとらわれない「非有非無」の概念や、「存在とは何か?」という問いへの、解答不可能な混濁した複雑さをコレクションに投影。退廃的でノイジーなイメージのデザインを揃える。
立体的に描かれた花のプリントは、19世紀の絵画をベースにしている。ロングジャケットやセットアップ、ブラウス、スウェットに描かれた花々は、青、または紫がかった色彩をまとって、鮮やかながらも毒々しく咲いている。影の描写によって、抽象性を帯びているのもまた印象的だ。
ロングブラウスや羽織のようなロングコート、ジャケット、パンツ、Tシャツにあしらわれた、落ちていく葉のモチーフは、本物の葉を採取して作られている。葉の1枚1枚の形状や揺れ落ちていく様子を、それぞれのアイテムに投影。静かなモチーフながらも目を引く仕上がりとなっている。
アンディ・ウォーホルの《花》を彷彿させる花柄にも注目したい。元々描かれていたハイビスカスは芥子(ケシ)の花に変わっており、ダークな背景のモヘアジャカードニットに、ピンクやレッドの花を咲かせている。一見するとポップだが、よく見ていくと仄暗く狂気を孕んだ表情に気が付く。
シルエットは、前シーズンに引き続き極端なオーバーシルエットのウェアが目立つ。テーラードジャケットやロングコートは、身幅をゆったりと仕立て、肩はしなる程にドロップさせたオーバーなサイズ感に対し、まっすぐに落ちる袖のストレートなフォルムがシャープなコントラストを描いている。アウターも、マキシ丈のノーカラートレンチコートやバルーンシルエットのMA-1、裾のドローコードで変形可能なモッズコートなど、分量感のあるピースを揃える。
ボトムスは、生地をたっぷりと使い、タックを配したフレアーパンツや、ウエストにギャザーを寄せボリュームを出したワイドテーパード、ワイドクロップドパンツなど、着用した時のしなやかなドレープ感が上品なワイドパンツを展開。その一方で、センタープレスを配した細身のテーパードパンツなども揃え、多彩なバランスのスタイリングを可能にしている。