2012年10月16日(火)、アンリアレイジ(ANREALAGE)が2013年春夏コレクションを発表した。テーマは「かたちの骨」。時間や解像度など、今までかたちにならないものを形にしてきたアンリアレイジだが、今回はかたちとしては存在しているけれど、日常では見えてこない「骨格」に注目。洋服に想像上の骨組みを与えるというアプローチによって、服のかたちを追求した。
真っ暗なランウェイに、ブラックライトでレントゲンのように白く浮き上がったのは、クリノリンのような洋服の骨組み。モデルの体も黒く塗られているせいで、骨組みだけが歩いているかのよう。会場が明るくなって、今度はネオンカラーの骨組みの服の下に、ワンピースを着たモデルが現れた。そのワンピースは、骨格が抜けてしぼんだ状態を表現している。
その次に登場したのは、元ある形から"肉"の部分をどんどん抜いて、最低必要な構造線だけを残してどこまで形がのこるか追及された服たち。そして、「洋服に穴をあけてボロボロにするのでなく、極限まで穴をあけて、一番シンプルな洋服のかたちをつくりたかった」と話すデザイナーの森永邦彦は、線と面で構成される、水玉やチェック柄も、線だけを残してレーザーで切り抜いた。そうして線だけになった服は、美しいレースのようだったり、下に重ねた柄とリンクして不思議な立体感をつくりだしたり、そぎ落とされることで新しい魅力を持つ服として生まれ変わった。
「ボロルックが30年前に登場して、洋服をやぶって穴を空けても今においては洋服を壊すことにはならないと思っています。今の技術で洋服の肉を落とすことを考えると、僕なりのグランジルック、ほつれることはない自分なりのボロルックができました。それは、ボロボロで壊れそうだけどしっかりと存在している服です」(森永)
記念すべき20回目のコレクションとなった今回、東京タワーでのデビューショーで使った音楽を高音フレーム化してBGMにした。ラストルックは東京タワーの骨組みを服にしたもの。服の「かたち」を追求するというストイックな挑戦は、いつしかアンリアレイジという歴史をかたちづくっていた。