サポートサーフェス(support surface)の2020年春夏コレクションが、2019年9月10日(火)に発表された。
ショーの舞台となったのは、東京国立博物館 表慶館。デザイナー研壁宣男が切望したというこの歴史ある建造物での開催は、2019年春夏コレクションに次ぐ、2度目となる。
今シーズンのキーワードになったのは「Vanishing point」。直訳すると“消点”という意味を持つこの言葉は、一方で、デザインの“起点”のような意味も持つのではないか。研壁はそんな思いを巡らせながら、デザインの“起点”となるようなブレることのない軸を意識して、シルエット作りに取り組んだ。
研壁が生み出すデザインの軸となっているのは、構築的なディテールを備えつつも、人が動いた時に柔らかなニュアンスを孕むように設計したシルエット。洋服を纏った女性の動作によって生まれる布の動きを想定し、フォルムを作り込んでいる。
たとえば、ノーカラーのシャツドレスは、一枚の布を身体に覆い被せたかのようなビッグシルエットでありながら、サイドに丸みを帯びた深いスリットを入れることで、裾が軽やかに揺れ動くように仕立てている。ドット柄のパンチングを施したアシンメトリーなブラウスは、細やかなプリーツが腕の動きによって異なる表情を生み出し、エレガントなムードを放つように設計した。
透け感のあるテキスタイルを起用しているのも今シーズンのポイント。歩くたびに空気をふわりと含むキュプラのシャツドレスや、格子柄のパフスリーブブラウス、バックスタイルにレース生地を配したジャケットから、素肌を覗かせることにより、フェミニティ薫るスタイルに仕上げている。研壁があまり使用することのない新鮮なボーダー柄トップスにも、シースルーのファブリックを織り交ぜた。
コレクションにリズムを生むのは、多彩なパターンや鮮やかなカラー。千鳥格子のハイウエストスカートや煌めきを纏ったマルチストライプのパンツ、カラフルな花柄のシャツドレスなどが、ランウェイに華を添える。レッド、ブルー、ピンクなど様々なカラーのフリンジを組み合わせたノースリーブワンピースも、存在感を放っていた。
コーディネートにアクセントを加える小物使いにも注目。スタイリッシュなパンツスタイルにも、上品なスカートスタイルにも、足元には一貫してスニーカーを合わせて、アクティブなムードを演出している。ブラウン、モノトーンといったベーシックカラーのパンツやワンピースには、クリア素材のベルトを取り入て、遊び心溢れるスタイリングに仕上げた。