トム ブラウン(THOM BROWNE)の2020年春夏ウィメンズコレクションが、2019年9月29日(日)、フランス・パリで発表された。
会場に足を踏み入れると、ストライプのシアサッカーを用いた庭園が広がっている。空に浮かぶ鳥、大地、そこから生える花々はストライプのテキスタイルで作られており、ゲストはショーが始まる前かトム ブラウンの世界観を楽しむことができる。パステルカラーのセットアップにクリノリン風のパーツを身につけたモデルたちが、会場を舞うように練り歩くと、ショーはスタート。続いてミュージックが激しく鳴り響くと、無数のドレスルックが続々とランウェイに姿を現していく。
ドレスのシルエットは、クリノリンやコルセットを取り入れたもので、ウエストはキュッと絞られており、スカートは裾に向かって大きく広がったボリューミーなフォルムが主流。その姿は1780年代ヨーロッパの豪華絢爛なドレスを彷彿とさせ、2020年春夏メンズコレクションと連動する要素も感じられる。また、1980年代のパンクや18世紀のポーランド民族衣装からインスピレーションを得たものでもあるようだ。
ドレスやその上にレイヤードしたジャケット、セットアップといったアイテムは様々なファブリックで仕立てられており、カラフルなストライプをパッチワークしたかのようなもの、きらきらと輝くラメ糸の入ったツイード、ストライプのキルトなどを採用。多彩なテキスタイルを用いることで、ペールトーンで統一した世界に奥行きを生み出していく。
そこにトム ブラウンらしい遊び心を加えるのが、今季のシグネチャーとして登場したイルカやセーリングシップといったマリーンモチーフだ。たとえばシャツやジャケット、スカートなどを描いたトロンプルイユのドレスには、イルカをスパンコールで刺繍して。裾にロープをうねるようにして飾り付けたブルーストライプのドレスには、波に揉まれているかのような躍動感のある帆船も見て取れる。
バッグにも、トム・ブラウンの愛犬であるダックスフンド“ヘクター”をモチーフにしたブランドを象徴するアイテムの新色だけでなく、イルカハンドバッグやタツノオトシゴバックパック、碇マークをあしらったチェーンバックなどが登場。ショーの始まりから終わりまで舞台に立ち続けたモデルたちの足元は、イルカを模したシューズが彩っていた。