リト(Rito)の2020年春夏コレクションが、2019年10月18日(金)、東京・渋谷のトランク(ホテル)にてプレゼンテーション形式で発表された。
本質への回帰、“Hyper Natrure”をテーマとした今季のリト。自然がもつありのままの色合いや質感を、優しくまた儚いスタイルへと落とし込んだ。
ジャケットやブラウス、ニットといったベーシックなウェアには、リトのベースであるこだわりぬいたファブリックが使われた。柔らかな質感のサマーウールから作られたスーツは、ほどよい落ち感がリラックスした雰囲気。リトのアイコンでもあるストライプシャツには、リネンの生成りを織り込み、涼しげにナチュラル感を演出した。また光沢感あるビスコースのニットはカーディガンやパンツなど、多様な素材が起用されている。
コレクション全体を包む儚い雰囲気は、柔らかな生地の織りなすドレープやギャザーで表現された。ホワイトのブラウスは、ギャザーがふわりと体を包み込むよう。スリーブの先に寄せられたひだは、手首にかけてまた豊かに膨らんでゆく。またショートトレンチも、肩はゆるやかに落ち、裾は豊かなギャザーがふんわりとした空気感をはらんでいる。
花のモチーフもところどころに取り入れられた。キュプラビスコースが上品なジャカードは、生地の上に優しく花を咲かせる。また光沢感あるワンピースの裾や、カットソーの切り替えには、繊細なレースをあしらった。
バックはどこか、名残を残してゆくような儚さを漂わせる。ワンピースはバックには布地をたっぷりと使い、ゆるやかに垂れてはひだをつくる。ギャザーの豊かなブラウスも、背中には大きくスリットが開き、それを橋渡しするリボンは長く、優しく垂れ下がる。あるいは、ショートトレンチのヨークも大きく仕立てられ、歩みに合わせて優美に、また物憂げに揺らめく。
カラーもひじょうに穏やか。どこかくすみを帯びたアイボリー、グレーやベージュなど、岩石がもつカラーをファブリックにのせた。自然にごくありふれている、しかしたしかに美しい色合いへとまなざしを注ぐ“優しさ”が、そこには満ちていた。