バーバリー(BURBERRY)の定番アイテム「トレンチコート」を特集。バーバリーによるトレンチコートの歴史やデザイン、生地、仕立てなど、長年にわたり愛されるトレンチコートの魅力に着目する。
また、バーバリーのアーカイブに基づいてアイコニックに仕上げたコレクション「ヘリテージ トレンチコート」は、モデルごとの特徴を紹介するとともに、「ケンジントン」「チェルシー」「ウエストミンスター」といった3種類のおすすめモデルもピックアップ。シーンや好みの着こなしに合わせて、自分にとって最適なモデルを見つけてみて。
100年間以上の間色褪せず、英国スタイルとバーバリーの象徴であり続けているトレンチコートは元々、英国軍将校を雨風や過酷な状況下から守るために作られた。その起源は1914年に開戦した第一次世界大戦の時代にまでさかのぼる。
1912年、バーバリー創業者のトーマス・バーバリーが、トレンチコートの前身である「タイロッケン」の専売特許を得る。「タイロッケン」は、ボタンを使わずギャバジン製のコートをひもと留め具を使って前で“結び(tie)”“錠前(lock)”のように留めるアウターだ。
20世紀初頭、英国陸軍省の依頼により「タイロッケン」は“塹壕(トレンチ)”での戦闘にも対応できるように改良が重ねられ、今日のトレンチコートの原型となる。トレンチコートのネーミングは、塹壕戦において気候の変化への耐性を発揮したことに由来している。
戦後も尚、その防護性の高さと快適な着心地、耐久性から、ロイヤルファミリーをはじめ、銀幕スター、アーティスト等がバーバリーのトレンチコートを着用。例えば、エリザベス女王の従弟であるリッチフィールド卿は、1970年代のバーバリーの数々のトレンチコートキャンペーンに出演している。
現代では、トレンチコートはスタンダードなファッションアイテムとして普及し広く愛用されている。
元来英国軍の実戦のために用いられていたトレンチコートには、軍用のディテールが随所に施されている。「エポレット(肩章)」はかつて将校の階級を示し、胸元にボタンで止められた「ガンフラップ」は、生地を二重にすることで、発砲する際の衝撃から胸元を保護する役割を果たした。
また、トレンチコートの背中上部を覆う当て布の「ストームシールド」は、雨水が流れ落ちるようにあしらわれており、ベルトのDリングは、軍事用備品を運ぶ際に用いられた。また、後ろ身頃のプリーツやベントは、馬や乗り物に跨いだり、走ったりする際動きやすいように施されたものだ。
バーバリーのトレンチコートの魅力を語る上で欠かせないのは、その素材である「ギャバジン」だ。「ギャバジン」は、1cmあたり100本以上もの糸を織り合わせた高密度な生地で、わずかな隙間から通気性を保ちながら、雨水の浸透を防いでくれる。また、3回の撥水加工を施すことで、より撥水性を高めている。