JW アンダーソン(JW Anderson)は、2020-21年秋冬ウィメンズコレクションを、ロンドンで発表した。
“ボリュームと動きの探求”がテーマの今季。極端な造形や躍動するデザインによって生み出された、生き生きとした有機的なウェアが登場した。
目を引いたのはレザーのショールカラーを配したダイナミックなAラインコート。自社開発のファブリックを用いて仕立てられたこのコートは、首に向かって広がる極端に大きい襟と、裾に向けて広がる袖や身頃が絶妙なバランスで構築されている。襟の滑らかなレザーと、起毛感のある身頃や袖が、質感のコントラストを描く。
また、ミクスト・メディア アートから着想を得たメタリックなニットドレスやスカートも印象的だ。フリルとギャザー、膨張しているような独特のボリューム感を組み合わせ、斬新なフォルムを形成している。フリルを連ねた襟が印象的なマーブルプリントのブラウスは、鱗のように反復的なゴールドの装飾を配したベストと、流れるようなフリルパンツと組み合わせスペクタクルなコーディネートを提示した。
ターコイズやゴールド、シルバーのフィルクーペドレスは歩を進める度に躍動し、光を反射していく。波打つような動きは、まるで意志を持っているかのようにも見える。メタリックな繊維は、丸みを帯びたシェイプを形作ると分量感を感じさせ、直線的なパターンや袖などのパーツに用いられるとその細やかさに目が行く。鏡面のようにきらびやかなドレスや、大判のブランケット、チェックのコートなどは、メタリックファイバーがケープのようにふわりと肩をカバー。柔らかさや繊細な動きを添える。
メタルで織られたリキッドサテンは、プリント、圧縮、ねじりを加えてドレスに仕立てることで、予想のつかないランダムさを感じさせる。歪んだ印刷と、生地の不均一なドレープ、立体感が相まって飄々とした独自の存在感を放っている。ギャザーとドレープで曲線的に仕上げたシアーなシースルードレスや、所々をつまみ、結ぶことで幾何学的な折り目を表面に配したブラックのブラウス、着た人の動きに合わせて生地が動き、表情を変える白黒のバイカラードレスなどもまた、そのランダムな佇まいが見る者を惹きつける。