■サイケデリック(sci-chedelic)
グラフィカルなラインやビビッドカラーの組み合わせで、光と輝き、色を大胆に印象付ける「サイケデリック」。今回、耕が披露するのはリップにアクセントを置いたメイクだ。
まず、立体感を出すためにシェーディングを入れるのではなく、光を受けやすい頬骨や頬の内側などにハイライトを入れ、アイメイクは控えめに。「今年も引き続き太眉ブームは継続です」と耕。ナチュラルな太眉の作り方は際の眉の下側を足し、眉頭にかけて明るくするのがポイント。
程よくマットでツヤ感もあるビビッドカラーのリップを筆で輪郭から丁寧に描いていく。艶のあるベアスキンにキッチュなポップカラー。このバランス感が今年らしさのカギとなってくる。
また今回のプレゼンテーション後に、この2人のメイクアップアーティストにショート・インタビューを行い、春夏の最新トレンドやコレクションのメイクアップについて聞いた。
【Lyne Desnoyers/リン・デスノヤール】
Q.あなたがパープルを頬に乗せたとき、少しビックリしましたが、仕上がりは素晴らしかったです。
A.一見、一緒になり得ない色同士だけど、ミネラライズ ブラッシュを使うと簡単に、でも面白いグラデーションを作ることができます。1色をのせるだけじゃなくて、ハイライトや頬骨の辺りに「ブレンディング」するのがポイント。そうすることで肌の一部のように見える。そう、今回プレゼンテーションでもお見せしたブレンディングが今シーズンのキーになってきます。
Q.ショーのメイクの中では、リンさんがキーをしたマリメッコが素敵でしたが、今回、春夏のコレクションの中で、特に印象に残っているメイクはどのショーですか?
とても選びきれないけれど、すごく感動したのはハイダー・アッカーマンのショー。ステファン・マッケイがキー(*)を務めたのだけれど、ほとんどこのサイケデリック・リップ、シグネシャーアイブロウなど今シーズンのトレンドが全部盛り込まれているし、とてもグラフィカルな上に洗練されていて、エレガントだったわ。イッセイ ミヤケも私のお気に入りのひとつで、とても美しかった。ユニークなプレゼンテーションで、常にポエティック。このショーでは、モデルたちが水の中から飛び出したように見せたかったので、シルバーのスプレーを全体に吹きかけたの。面白いのが、ハイダー・アッカーマンはサイケデリックで、イッセイはニュアンスと全然違うんだけど、どちらも詩的な点が共通しているの。私はメイクアップの感情や物語性を大事にしているから、今シーズンの微妙なとらえ難いニュアンスがとても好き。
* キー ―― キーアーティスト。ファッションショーを行う際、ショーのメイクアップを決め、コレクションのバックステージを手がけるメイクアップアーティストのチームをまとめるリーダーのこと。