ルール ロジェット(leur logette)2020-21年秋冬コレクションのテーマは「忘れられない記憶の服」。
母から娘へ、人から人へと受け継がれ、時代を超えて“愛されすぎた服”たちが主人公だ。袖を通すと大切なあの日の記憶が蘇る、そんな思い入れのある一着からインスピレーションを得て、ファッションの力を掘り下げる。
今も昔も愛されているアイテムといえば、花柄のワンピースがある。ファッションの歴史に革命をもたらした先人のポートレートや、祖母や母の若き頃の写真をながめても、いまの私たちと同じように、嬉しそうに花柄のワンピースを身に着けているものだ。“時代を超えて愛されすぎた”アイテムの一例として、今季ルール ロジェットはたくさんのフラワーワンピースを用意した。
例えば、色鮮やかなフラワープリントのロングドレス。ジグザグにあしらわれたレースリボンが特徴的なこのドレスは、花の美しさを表現するため、手作業で1色ずつ染めていく“手捺染”という技法を用いて花模様を作り出した。群れをなすほど、たくさんの花が並んでいるのに、花1つ1つの色の鮮やかさが際立っている。ふんわりと広がるスカートラインが、洋服を纏うことの楽しさを教えてくれ、すっきりとした立ち襟がノーブルな印象をもたらしてくれる。
ブラック&ホワイトのフラワードレスは、チュール生地の上から立体的な刺繍を施したクラフトマンシップを感じる力作。柔らかく広がるAラインのシルエットが女性らしさをより一層引き立たせ、同時に纏う者に高揚感を与えてくれる。
どこか懐かしさを感じさせる、ビッグシルエットのジャケットも今季を象徴するピースの一つ。マリア・ケントのツイードやイタリア・ディナモ社のベルベッドなど、こだわりの上質素材で仕上げたジャケットは、立体的で大きなショルダーラインが特徴的だ。クラシカルな金ボタンをあしらうことで、古き時代の美の感性を現代へと結びつけた。
そして、今季のルール ロジェットの“スペシャルな一着”となるのが、マリア・ケントの生地で仕立てたツイードコートとベスト。生地からキレイに流れる糸は、1本1本手作業でカットされたもの。纏う者の動きにあわせて、色っぽく揺らめく色とりどりの糸が印象的だ。