G.V.G.V.(ジーヴィージーヴィー)2021年春夏コレクションが発表された。
デザイナーの“妄想旅行”がインスピレーション源となった今シーズン。めくるめく空想の中で辿り着いた先は、白い砂浜、青い青空が広がる――そう、美しいビーチだ。今季は、テーラードやワークアイテムをはじめとする、ブランドらしいマスキュリンなアイテムをベースに、そんな自然の情景を随所に落とし込んだ、遊び心溢れるコレクションに仕上げている。
シャツやキャミソール、イージーパンツといったベーシックなワードローブに広がるのは、今季のキーモチーフである“ビーチ”の風景。爽やかな青空が広がる日中と、オレンジ色に空が染まる黄昏時をとらえた2種類のプリントは、いずれも同じビーチとは思えぬほど、異なるムードを纏っているのが印象的だ。
中でも目を惹いたのは、波打つように細やかなプリーツがなびくプリーツスカート。アシンメトリーな裾も相まって、幻想的に浮かび上がる夕暮れのビーチは、どこか切ないノスタルジックな空気に包まれている。またスタイリングには、相反するマスキュリンなカラーのジャケットを合わせることで、その鮮やかな情景をより一層引き立たているのも面白い。
正面からみるとノーマルに見える麻のジャケットには、ビーチシーンからイメージを膨らませた“セーラー襟”をドッキング。ややゆったりとしたシルエットで仕上げた、ナチュラルなピースに、意外性のあるディテールを隠したユニークな一着だ。またルックでは、そんなジャケットに、同じくセーラー襟を持つシャツを差し込んだ、大人の遊び心溢れるレイヤードスタイルを提案している。
日常でサラリと纏えるリアルクローズには、さり気ないカッティングを加えることで、センシュアルなムードを香らせて。襟下を直線的に繰り抜いたサンドカラーのロングシャツは、スリーブ下にもカッティングを加えることで、肩から大胆にアームを出すことも可能。
一方複雑に生地が絡み合う“ホール”だらけのトップスは、実はひと繋ぎになっているもの。重なり合う波や砂浜などの造形にインスパイアされた複雑な構造の中にも、カッティングによる“色っぽさ”を加えているのが印象的だ。
またボトムスには、オーバーサイズのワイドパンツ×スカートという、やや“野暮ったい”レイヤードスタイルを提案。“フェミニン”と“マスキュリン”という相反するコードが行き交いながら、絶妙なバランスを計算した、ブランドらしいコーディネートを完成させている。