アシードンクラウド(ASEEDONCLOUD)の、2021-22年秋冬ウィメンズ&メンズコレクションを紹介。
2021年秋冬コレクションのテーマは“Hyouryushi”。広々とした海を見渡す灯台からイメージを広げ、灯台守と渡し舟の船頭の夫婦が織りなす物語に思いを馳せる。誰かがどこかで落としたものが海を渡って流れ着き、それを拾い上げることでまた新たな物語が始まる。人の手から海へ、海から人の手へと渡っていく“漂流物”の持つ物語や声、記憶に耳を傾けるようにして海に寄り添う人々の姿を描き出している。
象徴的なアイテムは、砂浜で漂流物を拾う時に適したデザインのコレクトコート。後ろに配したジップ付きのポケットや、濡れているものを入れる撥水仕様のポケット、こわれやすいものを入れるためのポケットなど、様々な漂流物を想定したポケットが配されているのが特徴だ。
また、袖や襟から砂、風が入りにくいフォルムや、グローブを着けたままでも開閉が可能な、海軍服のディテールを踏襲した前合わせの金具などは、海辺で過ごすためのデザイン。生地は、ハリー・スティーブンソンの、オイルコーティングを施した帆布が用いられている。
格子模様を配したブラックウェルシュマウンテンウールのロングコートや巻きスカートは、航海の時に潮流や地理を確認するのに用いられる“海図”がモチーフ。巻きスカートは寒さをしのぐためのケープとしても使うことができる。
さらに、温もりのある柔らかな色味の英国羊毛で仕立てたアラン編みのフィッシャーマンニットや、漁師を思わせるゆったりとしたポケット付きのオーバーオール、60年代の英国海軍から着想を得たオーバーサイズのヘリンボーンアウターなど、海を連想させるアイテムが揃う。
深みのある青の色彩もまた、広くて深い海を思わせる要素の1つだ。影のあるブルーが印象的なスタンドカラーシャツは、インディゴに墨のコーティングを施した後、バイオウォッシュを施すことで“暗闇の中の青”を表現。また、大陸の植物をプリントした青焼きのブラウスは、青の濃淡によって繊細な植物の佇まいを描き出す。アーカイブの“押し花プリント”の上から近年発表したボタニカルプリントを重ねることで生まれた、奥行きのある絵柄に注目だ。
スタイリングの中で存在感を放つ貝殻や小石、サンゴなどを使ったアクセサリーは、アートユニットの「オートゥルノトゥルス(O’Tru no Trus)」が手掛けたもの。まさに海の漂流物を使用し、繊細な金属と組み合わせたアクセサリーは、オブジェのような神秘性と、時の経過を感じさせる豊かな表情を併せ持っている。