映画『白い牛のバラッド』が、2022年2月18日(金)に全国で公開。
映画『白い牛のバラッド』は、夫を冤罪による死刑で失ったシングルマザーを巡るサスペンス作品。イランのマリヤム・モガッダムとベタシュ・サナイハの共同監督によって制作された本作は、第71回ベルリン国際映画祭で金熊賞、観客賞にノミネート。両監督共に映画界の新たな才能として高く評価されている。
中国に次いで死刑執行数が多い国イラン。反政府的な抗議活動者や少数民族を「政治的に弾圧する武器」として死刑にし、未成年であっても死刑になる。
また、イランにはイスラーム法でキサースという同害報復刑が存在。いわゆる「目には目を、歯には歯を」の制度だ。2016年、4歳の少女の顔に石灰をかけて視力を奪ったとして有罪判決を受けた男に対し、両目を失明させる刑が執行されたという事実もある。
『白い牛のバラッド』は、こうしたイランの厳罰的な法制度を背景に、未亡人が生きづらい敬虔なイスラム社会の不条理と人間の闇を炙り出した緊張感のあるストーリーを展開。賞レースで高い評価を得るも、イラン政府の検閲により正式な上映許可が下りず、自国での上映は3回のみとなっている。
共同監督の1人、マリヤム・モガッダムは監督だけでなく、脚本と主演も兼任。緊張感溢れるストーリーの中で、シングルマザーとして娘を育てようと奮闘しながら、理不尽な社会に立ち向かう女性を緻密な心理描写と共に演じる。
主人公・ミナ...マリヤム・モガッダム
愛する夫を死刑で失い、ろうあの娘を育てながら必死で生活するシングルマザー。1年後に夫の無実が明かされ深い悲しみに襲われる。賠償金よりも判事に謝罪を求めている。
レザ...アリレザ・サニファル
ミナの夫の友人を名乗る男。ミナは親切な彼に心を開き、家族のように親密な関係を育んでいくが...ミナはふたりを結びつける“ある秘密”に気づいていない。
ビタ...アーヴィン・プールラウフィ
ミナの愛娘。耳が聴こえないビタは、冤罪で夫を亡くしたミナの愛を一身に受けて生活しているが、学校には馴染めず、時折嘘をついてしまい先生からも困り果てられている。学校に行くことが嫌になり、家で映画を観ることに夢中。演じる天才子役アーヴィン・プールラウフィは、両親がろう者で、手話を日常的に使っているコーダ。ろうあの少女ビタを実に自然に演じきった。
<映画『白い牛のバラッド』ストーリー>
テヘランの牛乳工場に勤めるミナは、夫のババクを殺人罪で死刑に処されたシングルマザー。
刑の執行から 1 年が経とうとしている今も深い喪失感に囚われている彼女は、聴覚障害で口のきけない娘ビタの存在を心のよりどころにしていた。
ある日、裁判所に呼び出されたミナは、別の人物が真犯人だと知らされる。ミナはショックのあまり泣き崩れ、理不尽な現実を受け入れられず、謝罪を求めて繰り返し裁判所に足を運ぶが、夫に死刑を宣告した担当判事に会うことさえ叶わなかった。
するとミナのもとに夫の友人を名乗る中年男性レザが訪ねてくる。ミナは親切な彼に心を開いていくが、ふたりを結びつける“ある秘密”には気づいていなかった…。
映画『白い牛のバラッド』
公開日:2022年2月18日(金)
監督:マリヤム・モガッダム、ベタシュ・サナイハ
出演:マリヤム・モガッダム、アリレザ・サニファル、プーリア・ラヒミサム