ミキオ サカベ(MIKIO SAKABE)の2010S/Sシーズンのコレクション。世界中の様々な情報を誰もが手軽に、そして安易に手に入るようになった直前の90年代初頭。インターネットが普及し始める前の時代にフューチャーした今回のテーマは「トワイライト」。
ロマンチックで夢見るイメージの2009-2010A/Wとは異なる内容となったミキオ サカベ。ロックテイスト、ストリート的な要素を入れたり、カラーも前回にはない黒を基調とするなど、これまでやってきていないことにチャレンジしたコレクション。多くの人がごく普通に着るデニムとTシャツのスタイルもその内容は一味違う。ブリーチのグラデーションがかかった長めのデニム、パッチワークなどディテールには強い拘りが感じられる。引き裂かれた黒ストッキング、十字架、メタリカやガンズアンドローゼズなどを彷彿とさせるイメージがプリントされたTシャツ、スモーキーメイクは他にはない強烈な個性が確かに存在している。
これらのコレクションには、大量のCMやネットの普及により、たくさんの情報の中で、多くの選択肢が生まれ、しかし結果的には誰もが同じ選択をする、トレンドに乗ってしまう。情報にコントロールされ、個性がなくなってきているという現代に対する反抗するような強いメッセージ性が込められており、デザイナーの「個性を問う」コレクションでもある。