メゾン ミハラヤスヒロ(Maison MIHARA YASUHIRO)の2022-23年秋冬コレクションが発表された。
今季のテーマは、“SELF CULTURE”。「自分の中のローカリズムを改めて考えた」という三原康裕が行き着いたのは、自らのスタート地点である1990年代の東京の空気感だ。日本がアメリカやヨーロッパを必死に追いかける時代の中に存在したアメカジやミリタリー、古着のカルチャーに想いを馳せ、ユーモアを織り交ぜて再構築した。
目を惹くのは、既存のモノを“再解釈”するメソッド。中でもMA-1ジャケットにおいてそれは顕著で、襟を内側に織り込むことで誇張的に“前のめり”に着崩すシルエットへと変化させたものや、本来スリーブのある場所の下からアームを出す仕様のもの、袖口のパーツを服の至る所に取り付けたものなど、あらゆる意外性を秘めた個性的なデザインが散見された。
また、ブランドの得意とする、2つの異なる服や素材によるドッキングの試みも健在。本来クラシカルなアイテムであるトレンチコートの内側にミリタリーなモッズコートを繋ぎ合わせたピースは、前から見るとトレンチコート、後ろから見るとモッズコートと、見方によって表情までがらりと変わってしまうのが面白い。
メゾン ミハラヤスヒロらしさが光るドッキングの遊びはほかにも。一見普通のフィッシングベストも、よく見るとアウトドアブランドのバッグを組み合わせた複合的なデザインになっている。
中盤のデニムルックは古着を彷彿とさせる要素。過度にダメージが入ってぼろぼろになったGジャンは解体途中のようにも見えるが、中に異なるデニムアイテムをレイヤードすることで修復。徹底した再構築により、全く新しいピースへと変化を遂げている。
様々なカルチャーが混在していた90年代をなぞる中で、バブル時代も避けては通れないだろう。ルックを見渡してみると、シアンやマゼンダといったヴィヴィッドなカラーに染められたニットや、ラメが輝くボディコンシャスなロングドレス、モヘア起毛のボリューミーなコートなど、バブリーな雰囲気の衣服が多く登場。コレクションをゴージャスに彩っていた。