トム ブラウン(THOM BROWNE)は、2022年秋冬ウィメンズ&メンズコレクションを発表した。
今シーズンのランウェイは、大人たちが本当の自分を探しに次々と訪れる“トイショップ”を表現。いつかどこかで迷子になってしまった自由な遊びを取り戻すため、“おもちゃらしさ”を見つけるために大人たちはトイショップへと足を踏み入れる。店の前には500体のテディベアたちが集合し、そんな大人たちの様子を見つめている。
コレクションを通して、紙人形やこんがらがったルービックキューブ、発射準備万端のロケット、パズルピースの欠片など、子供の頃は当たり前にすぐそこにあったおもちゃの“おもちゃらしさ”を発見し、童心にかえる喜びを、大胆に、そして嬉しそうに表現。上品なグレーツイードをベースに、レッドやブルー、グリーン、オレンジのストライプをパイピングや切り替えで配し、自在に変形させることでプレイフルなムードを描き出している。
様々な“遊び”の出発点となるのは、クラシカルなテーラードスーツ。ベースとなるテーラリングを生かしつつおもちゃの擬態をすることで、“おもちゃらしさ”を体現している。例えば、ツイードのテーラードジャケットと、プリーツスカートのセットアップは、クリノリンに合わせたシルエットにアレンジし、人形のようにデフォルメされたシルエットに。
また、おもちゃの人形に配されたバネを彷彿させるプリーツ使いや、角ばった木製人形のような“ボックス型”のトロンプルイユ、身体に対して極端に大きなシルクモガドールジャカードのリボンやジャケットなども、人形への擬態を思わせる。手に持ったバッグも同様に、足の生えたファー付きのバッグや積み木のようなボックス型バッグなど、おもちゃに擬態したデザインで展開。トムのダックスフント「ヘクター」のバッグは、車輪付きボックスのバリエーションも登場している。
さらに、おもちゃの擬態に留まらず、もはや一体化しているかのようなデザインも散見された。パッチワークとドレープを効かせたドレスは袖からロブスターの大きなハサミが現れ、トラッドなニットは身体そのものをボールのようなフォルムへと変容させる。
そして制約のない遊び心は抽象性を帯び、よりダイナミックな佇まいに。ニットの編地やステッチ、もしくはシャツの袖などは巨大化され、意表を突く造形へと変化を遂げる。また、ツイード地をニットのように編み込み、ねじって仕立てたアシンメトリージャケットや、中綿を詰め込んだぬいぐるみのようにパーツを連ね膨張させたツイードの変形ジャケット、ジャケットの片鱗が見えるこぶのようなパーツを不均一にあしらった彫刻的なワンピースなど、服のパーツを変形、誇張したピースが目を引いた。