ピップエレキバンを手掛けるピップは、初のファッションコレクション「コリナイ・コレクション」を開催。文化服装学院の学生による<未来の“肩がこらない服”>を発表する。
ピップエレキバン発売50周年を記念して始動した、コリについて考える様々な機会を提供するプロジェクト「コリナイ・プロジェクト」。「コリナイ・コレクション」は、その一環として実施されるピップ初のファッションコレクションだ。文化服装学院の学生約80名から審査を経て選ばれた5名が<未来の“肩がこらない服”>を制作し、10月に開催される発表会で披露する。
ファッションプレスでは、そんな「コリナイ・コレクション」の全貌を連載形式で紹介。“コリ”について考え続けてきたピップが本気で取り組む“肩がこらない服”の制作現場に密着し、その魅力に迫る。
本制作を勝ち取った学生たちに対し、どのような“肩がこらない服”を制作する予定なのか話を聞いた第1回に続く今回は、各作品における“人間工学的にユニークなポイント”にフィーチャー。多数の企業とタッグを組み、医療用スーツから作業用の椅子まで人間工学の視点を活かした“快適に使える”プロダクトを開発している人間工学博士・下村義弘に話を聞いた。
「ふわふわと宙に浮かぶシャボン玉は肩に負担を掛けないのではないか」という考えのもと、“シャボン玉”がそのまま服になったような遊び心溢れるワンピースを提案するチェ ヒョンジン。軽い風船などを用いた彼女の作品は、一見、肩への負担軽減によって肩コリを改善するかのように思えるが、実は彼女がチョイスした“シャボン玉”というモチーフがキーだという。空に浮かぶシャボン玉をイメージしたこの作品は、纏う人の気持ちと体勢を自然と上向かせ、それによって精神的・物理的に肩への負担を軽減してくれる。
ハンガーに掛けたまま着用することで、肩に掛かる重さを“ゼロ”にしてしまおうという青木紫苑音の作品は、肩こりの最大の敵である“重力”を作品全体で軽減していこうとする点がグッド。着用者、服、ハンガー、キャスター、それらを支える人…など作品に関わるものが1つ欠けてしまうだけで機能しなくなるという仕組みは、人間とモノの一体化を目指す人間工学の核となる部分を分かりやすく表現している。
デザイナー・イ ハニによる“まるで布団”のようなコートドレスは、地球上で唯一肩コリしない状態だとされる“横になった状態”を着想源としているのが人間工学的にユニークなポイント。テクスチャーから、色、デザインまで、そのすべてが“睡眠中”を思わせるものであるということが、この作品における最大の評価ポイントだという。
森山あすかによる“風船”を肩に取り付けたシャツもまた、“シャボン玉”のワンピースと同じように上昇していくものをメインにしている点がグッド。肩コリを軽減させるには重力を受け流すことが大事だということを、可愛らしくピュアに表現している点が好印象だとか。
“誰が着ても着心地が良いと思えるような服”をキーワードに、肘や膝といったあらゆる関節にファスナーを取り付けた髙橋知優のトラックスーツとパンツのセットアップ。この作品には、すべての人にとってやさしいデザインを考える人間工学の一分野「ユニバーサルデザイン」の考え方がしっかりと落とし込まれているという。
「コリナイ・プロジェクト」公式サイト:https://elekiban.pipjapan.co.jp/50thanniversary/korinai-project/