スズキタカユキ(suzuki takayuki)の2022-23年秋冬コレクションが発表された。
「the forest floor」をテーマに掲げた今シーズン。デザイナーのスズキタカユキが思いを馳せたのは、色とりどりの落ち葉が降り積もった“秋の森”だ。地面はふっくらとしてやさしく、踏みしめるとギュッギュッと楽し気な音を奏でる。そんな秋の特別な時間に感じられるぬくもりを、衣服へと落とし込んだのだという。
まず目を引くのは、赤や黄、オレンジなど、秋の森を思わせる暖色のパレット。紅葉した楓のような深い赤には“メープルレッド”、肉桂の樹皮を乾燥させたようなくすんだ赤茶色には“シナモン”など、自然からのインスピレーションをもとに全てのカラーに色名が付けられているのがユニークだ。
秋のムード加速させるのは、コーデュロイやカシミヤ、ウールといったほっこりとした素材使い。たとえば、肉厚でもっちりとした手触りのコットンパーカーには、ざっくり編んだモヘアニットを重ね、より温かみのある印象に。本来強気なアイテムであるレザーのブルゾンも、マットな質感の牛革を使用することで、今季のナチュラルな雰囲気とマッチさせている。
一方、リネンやキュプラなど、艶感がありさらさらとした素材のアイテムも多く見受けられた。特に新鮮だったのは、光沢感を纏ったレーヨンのコーデュロイ素材だ。首が詰まったトップスやパンツは温かみを内包しつつもどこか軽やかで、重厚になりすぎない印象。ニットトップスやウールのコートに、光沢感のあるアイテムをミックスすることで、コレクションにメリハリを与えていた。
遊びの光るディテールデザインにも注目したい。たとえば、ナチュラルな風合いのハッキングジャケットは、ポケットが2つ重なっているのがユニーク。ボタンも途中の1つがずれた位置にセットされ、あえて“掛け違えた”ようなデザインになっている。