メゾン ミハラヤスヒロ(Maison MIHARA YASUHIRO)の2025年秋冬コレクションが、2025年1月24日(金)、フランスのパリにて発表された。
超・オーバーサイズのストリートウェアを展開する、今季のメゾン ミハラヤスヒロ。その特徴を、「デフォルメ」をキーワードに捉えることができよう。ミリタリージャケットやデニムジャケット、ワークブルゾン、シャツやパンツ、ニットなど、多くのウェアが誇張されたオーバーサイズで仕上げられているのは、身体にフィットするサイズ感からのデフォルメだと、まず言えるだろう。
とりわけ、オーバーサイズのシルエットで顕著な点が、バックスタイルのボリュームだ。MA-1やストライプ柄の中綿入りジャケットなどは、ショルダーを大きくドロップさせるとともに、バックにファブリックの分量を多く取ることで、肩から後ろへと重力に沿って大胆に落ちてゆく。さらに、トレントコートやミリタリージャケットなどでは、バックを八の字に切り替えることで、ダイナミックな量感と存在感ある造形性を叶えている。
デフォルメという点では、衣服を解体・再構築し、大胆なフォルムを生みだしていることが見てとれる。デニムジャケットやMA-1などをもとに、複数のアイテムを解体し、肩から掛けるように、あるいは上下を反転させて組み合わせることで、見慣れたアイテムに新鮮な表情をもたらした。また、スカートでは片側にジャケットを組み込むなど、アウターとボトムスをモンタージュのように組み合わせた例も見られる。
もうひとつデフォルメで秀でた点を挙げるのならば、それはパンツの対称性をく崩すことだろう。アシンメトリーなデザインに多かれ少なかれ柔軟性が許されるアウターやトップスに比べて、ボトムスには脚の動きゆえ、左右対称な仕立てが通常は多い。けれどもメゾン ミハラヤスヒロでは、パンツの左右のバランスを大きく歪め、一方を大きくドロップすることで、気怠い雰囲気を生みだしている。
素材においては、豊かな質感が追求されている。ワンピースに見られる艶やかなヘアリー素材、カーディガンやショート丈のクルーネックなどに用いた毛足の長いボア、ワークジャケットやパンツの太畝のコーデュロイなどを採用。また、コレクション全体を通して、経年変化を経たような色褪せた風合い、時としてライニングをも露出させるダメージ感を与えるほか、パンツなどにはスパンコールなどの装飾を施し、絶妙な華やぎを添えている。