ジョン ローレンス サリバン(JOHN LAWRENCE SULLIVAN)のデザイナー、柳川荒士はイギリスのファッションにルーツを持つ男である。どちらかと言えばサヴィルロウ寄りのテーラードのイギリスのイメージが強かったが、2014-15年秋冬のジョンローレンスサリバンは、イギリスの1950~60年代のユースカルチャー=モッズ、テディボーイ、スキンヘッドにインスピレーションを受け、反骨という精神を代名詞のテーラードの中に溶け込ませている。
十八番のジャケットは、芯地を極限まで省いたナチュラルショルダー全盛の今シーズンの中ではかっちりしているが、コンケーブはいつもより控えめ。ラグランスリーブのバイカラーのアンコンジャケットなど、新しいシルエットにも挑戦している。かすりのウール素材のテディボーイ風ブルゾンは、肩周りと袖をジャケットの構築的なパターンで作ったハイブリッドな逸品。鋭角なカッティングのカラーリブにも目を惹き付けられる。フェイクファーと思われる毛足の長いボーダーニットは、床に届きそうな長さのマフラーとお揃いで。
パンツのシルエットは、やや股上が深いノータックのワイドパンツ(裾幅は25cm程度で8部丈仕上げ)と、80年代風のペグトップ、ノータックのスリムの3種に集約される。足元を飾るのは「大人のマーチンとラバーソール」。英ユースカルチャーを代表する靴といえば「ドクターマーチン」の8ホールブーツだが、ソールをレザーに変えて大人っぽく仕上げている。紐はもちろんカラーレースだ。
素材は様々なバリエーションのウール、ボンディングっぽいハリ感のあるもの、コーティングの光沢のあるものが目立つ。ウールでは、ウインドペンの格子が太くなったようなオリジナリティのある柄(グレー×レッド、グレー×ブルーの2色でインパクトは抜群)や、極太のストライプのフランネル、ネップ風のツイードなどを提案。ボンディング素材は、トグルがカラフルなダッフルコートなどに採用している。前回同様に無機質な印象を与えるコーティング素材も多く見られる。
カラーパレットはグレー、ネイビー、ワインレッド、ブラックを基調に、それぞれの色味を素材や加工でバリエーションを出している。素材の選択が前回と似ているので、やや代わり映えしない印象もあるが、“品良く反抗する大人”も悪くない。
Text by Kaijiro Masuda(FASHION JOURNALIST)