東京・虎ノ門の大倉集古館では、企画展「大倉コレクション 信仰の美」を、2022年11月1日(火)から2023年1月9日(月・祝)まで開催する。
大倉集古館を設立した実業家・大倉喜八郎は、明治初期の廃仏毀釈によって仏像や仏画が寺社から流出し、廃棄されてゆく状況を憂い、これらの文化財の保護に尽力した。その蒐集品には、釈迦信仰、密教や浄土教信仰が育んだ仏など、中世から近世にかけての優品が多数含まれている。企画展「大倉コレクション 信仰の美」では、国宝《普賢菩薩騎象像》をはじめとする日本仏教美術コレクションとともに、信仰の歴史をたどってゆく。
仏教は、紀元前5〜4世紀頃のインドで、釈迦がその教えを人びとに説いたことに始まった。釈迦の生涯は、悟りを求めて修行した時期の「菩薩」と、悟りを開いた後の時代の「如来」に分けられている。その後、阿弥陀如来や薬師如来、弥勒菩薩など、数々の菩薩や如来が考案されることになった。会場では、《釈迦十六善神像》や《釈迦三尊十大弟子像》など、釈迦信仰にまつわる美術作品を目にすることができる。
平安初期、空海や最澄によって日本にもたらされた密教は、儀礼と聖教を重んじる新しいかたちの仏教であった。密教の本尊は、大日如来像を中心に構成される両界曼荼羅を基本に、その図像は規則によって厳格に規定されている。しかし、実際の作品においては、本尊をより美しく飾る技術を求めた表現を見てとることもできる。本展では、重要文化財《一字金輪像》や重要美術品《愛染明王像》をはじめ、美しく荘厳された仏像の数々を展示する。
浄土信仰とは、西方極楽浄土に住む阿弥陀如来像に対する信仰であり、極楽浄土への憧憬や、地獄への畏怖とともに隆盛した。美術作品にもこれは反映されており、たとえば、阿弥陀如来が臨終を迎える者を極楽浄土に導こうと飛来する場面を描いた「来迎図」はその代表例だ。会場では、金色の阿弥陀如来像、往生者を乗せる蓮台を持した観音菩薩像、そして合唱する勢至菩薩像をきらびやかに描いた《阿弥陀来迎図》など、浄土教美術の優品を紹介する。
普賢菩薩は、釈迦如来像の脇侍として文殊菩薩とともに三尊像としてあらわされることもある尊像であり、平安時代の中後期にかけては『法華経』の隆盛にともなって、独尊像としての信仰が行われるようになった。とりわけこの時代の貴族女性から篤い信仰を集め、優れた仏画や仏像も数多く手がけられた。本展では、この時期における彫像の名品、国宝《普賢菩薩騎象像》や、国宝《普賢菩薩十羅刹女像》を公開する。
企画展「大倉コレクション 信仰の美」
会期:2022年11月1日(火)〜2023年1月9日(月・祝) 会期中に一部展示替えあり
[前期 11月1日(火)〜12月4日(日) / 後期 12月6日(火)〜1月9日(月・祝)]
会場:大倉集古館 1F・2F 展示室
住所:東京都港区虎ノ門2-10-3(The Okura Tokyo前)
開館時間:10:00〜17:00(入館は16:30まで)
休館日:月曜日(祝休日の場合は翌火曜日)
入館料:一般 1,000円、高校・大学生 800円、中学生以下 無料
※20名以上の団体は100円引き
※障がい者手帳、被爆者手帳の提示者および同伴者1名は無料
※同会期中のリピーターは200円引き(前回来館時のチケットを持参)
【問い合わせ先】
大倉集古館
TEL:03-5575-5711 (代表)