ジョウタロウ サイトウ(JOTARO SAITO)は、2022-23年秋冬コレクションを、2022年11月6日(日)に日本橋・室町三井ホールにて発表した。
今季は「乱段。」をテーマに、存在感あふれる着物スタイルを提示したジョウタロウ サイトウ。秩序だっている生地や文様に、あえて裂け目や歪みなど、"乱す”ディテールを入れることで、ダイナミックさや劇的なアクセントがもたらされている。
たとえば、ボーダー柄を様々な向きに切り替えた着物や、形の異なるパズルを組み合わせたかのような幾何学模様の着物、白黒のコントラストとランダムな柄の配置によってグラフィカルに仕上げた着物などが登場している。文字通り亀裂を走らせるかのように大胆に色彩を切り替えた着物も目を引いた。
また、縞模様が四方八方に折り重なる柄や、立体感のあるモチーフと平面的なストライプを組み合わせた柄など、不均一に組み合わせたモチーフ同士が呼応することで生まれる躍動感が印象的だ。
帯には鮮やかな配色のジグザグ模様をきらめく糸で刺繍し、ノイジーな波形を表現。ボーダー柄の帯は、色の境目をラインで縁取り、柄の輪郭を強調した。輝く三日月モチーフを落とし込んだ帯は、あえて形を不揃いに描き、全体を覆うように柄をあしらうことで動きのあるデザインに仕上げている。
鮮やかな赤に、更紗のように華やかな文様が映える着物には、あえて同じ柄の帯をスタイリング。着物の流れるような仕立てに沿って連なる文様と、帯を彩る文様の連なりが互いに連動することで、佇まいに生き生きとしたリズムを生み出している。
幾何学模様の大胆さが際立つ一方で、植物モチーフの繊細な表現も散見されている。ダークグレーをベースにしたメンズの羽織は、細かく描き込まれた植物柄が上品な佇まいを演出。裂け目のような柄を配した着物には、大輪の椿の花が描かれている。また、優雅な光沢を携えた格子柄の着物には、手描きのようなタッチと淡い色彩で花やつぼみ、葉をあしらい可憐な雰囲気を漂わせた。
終盤に登場した、赤と青の花々に彩られた着物は、陰影や花びらの質感などを細やかに表現した立体的な模様がアイキャッチ。赤の花と青の花の間にグレーの色彩や明るいオレンジカラーをふいに差し込むことで、突発的な変化をプラス。エッジを効かせている。