ジョウタロウ サイトウ(JOTARO SAITO)の2023-24年秋冬コレクションが発表された。
ジョウタロウ サイトウが掲げた今季のテーマは「夢幻(ゆめまぼろし)」。スモークを焚いた幻想的なランウェイで、叙情的なムード漂う全39ルックが披露された。
散見されたのは、大小さまざまな“蝶”のモチーフ。たとえば、真夜中の静けさを思わせる漆黒の着物には、淡いピンクやブルーの蝶を配し、詩的で儚げなムードを演出。今にも消えてしまいそうな蝶は幻のようでありながら、確かな躍動感をプラスしているのが印象的だ。
繊細なレースモチーフをあしらった着物もまた、儚げなムードを纏った1着。やわらかなオフベージュをベースに採用したルックには、細やかなレースとドット模様を落とし込み、ロマンティックな印象に。フェミニンな柄使いながらもシックでモダンな雰囲気が漂っているのは、帯やバッグ、足袋に至るまでブラックで統一し、全体を引き締めているからであろう。
植物モチーフのいきいきとした表現も散見された。淡いグリーンをベースにした着物は、生命力あふれる草花柄がフレッシュで可憐な佇まいを演出。裂け目のような柄を配した着物には、大輪の椿の花が描かれている。また、巾着バッグには、クラシカルな文様“縞模様”と大輪の花を咲かせる“牡丹”を融合させた、ブランドのアイコニックな柄「縞ボタン」をあしらった。
繊細な柄使いが際立つ中、コレクションに大胆なリズムをもたらしているのが、ダイナミックな幾何学模様だ。登場したのは、形の異なるパズルを組み合わせたかのような着物や、辛子色と黒のコントラストでグラフィカルに仕上げた着物など。メンズの着物には、ボーダー柄を様々な向きに切り替えたルックもお目見えした。
スタイリングに華を添える帯デザインにも注目したい。中でもひときわ目を惹いたのが、「街の灯り」と名付けられたブルー×ブラックの帯。生地の表面にキラキラと輝く素材が重ねられているのが特徴で、モデルが歩くたびに煌びやかな表情を演出していた。
カラーパレットは、ブラックやグレーといった深みのあるダークトーンが中心。時折、淡い藤色や若草色、さらには鮮烈なブルーやダイナミックなレッドを差し込んで、アクセントをプラスした。