耕三寺は、広島県の生口島に位置する。実業家の耕三寺耕三が、母の菩提寺として建立した浄土真宗本願寺派の寺。堂塔は、国宝建造物を手本として建てられ、内15棟は国登録有形文化財に指定されている。
煌びやかな孝養門の原作は、日光東照宮陽明門。当寺の建築においては唯一その実測図が用いられており、各部の比例も一致している。また、本堂は、京都宇治平等院鳳凰堂を原型として建立された。中央に中堂、その左右対称形に翼廊を配し中堂の背後に尾廊が建つ。極彩色を施し外部の組物などの表面は宝相華唐草文と繧繝彩色を主体としており原作よりは一段と華やかな見た目である。
その他、奈良・室生寺五重塔を原作とする五重塔、大阪・四天王寺の金堂を原型とする法宝蔵・僧宝蔵、奈良法隆寺の夢殿を原型とする八角円堂(聖徳堂)などが敷地内に位置する。
耕三寺家の美術コレクションを、公開するために昭和28年に開館したのが「耕三寺博物館」。収蔵品には、重要文化財や、重要美術品も含まれ、館内の各展示館において仏教、茶道、近代美術の名品を鑑賞できる。なお、法宝蔵・僧宝蔵と金剛館を博物館として展示公開。
広さ5,000平方メートルにもおよぶ白い大理石の庭園「未来心の丘」はフォトスポットとして有名。エリア内にはカフェ・クオーレも位置する。