フェラガモ(Ferragamo)は、2023年秋冬コレクションを、イタリア・ミラノで発表した。
マクシミリアン・デイヴィスがクリエイティブ・ ディレクターに就任後2シーズン目となる今季は、前シーズンに続きフェラガモの歴史と強い繋がりを持つハリウッドにフォーカス。創業者サルヴァトーレ・フェラガモが1950年代を通じて関係性を築き上げた、ソフィア・ローレンやマリリン・モンローなど映画スターたちのワードローブから着想を得た。当時のロマンや美学を再考し、現代的な佇まいに落とし込んでいる。
印象的なのは、現代の視点からまなざした1950年代のムードを体現したルック。オフショルダーのミニドレスや胸元がざっくり開いたジャンプスーツ、ネックラインを深めに取ったタンクトップなどは、グラマラスなフォルムを踏襲しつつもミニマライズすることでコンテンポラリーなムードを漂わせている。
また、ジップの開いた部分からアイコニックなレッドの差し色がのぞくレザーブルゾンやレザーパンツ、高い襟を配したフロック加工されたベルベットのコート、コーティングされたメタリックデニムパンツ、白いヴィスコースのタンクトップなど、バイカースタイルのコードを踏襲しつつ洗練された雰囲気に仕上げたルックも散見された。
また、異なる時代を行き来しつつ、優美な繊細さとソリッドな厳粛さ、憂いを帯びた表情とアッパーなテンション、といった劇的なコントラストを描くことで、本質的な優雅さや輝きを浮かび上がらせる試みも見て取れる。
ルネッサンス期を思わせるドレープとギャザーを効かせたドレスや、ボディスーツに重ねたダークトーンのファーコートなど、どこか物憂げな表情を浮かべたエレガントなスタイルが登場したかと思えば、パテントレザーのミニドレスやラメのミニドレスなど、フェティッシュな装いも披露。光沢や光の反射によるメタリックな輝きは、1950年代の人々が考えたであろう“未来的な姿”を表現している。
1950年代のスタイルからインスパイアされた、クラシカルなシルエットも特徴的だ。当時のクチュールから引用したコクーンカットのボマージャケットやシャツは、立体的な袖のフォルムがグラフィカルな印象を演出する。グレンチェックのチェスターコートや端正なテーラードジャケット、ダブルフェイスのジャケットといったテーラードアイテムは、ウエストをシェイプさせシャープな佇まいに仕上げることでモダンなエッセンスを加えた。
バッグは、アイコンバッグ「ワンダ」をはじめ、ハンドルに手を通して持つミニバッグや脇に抱えて持つゆったりと大きなハンドバッグが登場。シューズは、シャープなポインテッドトゥのパンプスや、華奢なストラップのヒールシューズ、つま先が膨らんだブローグシューズ、存在感のあるレザーブーツが展開されている。