舘鼻則孝の個展「Distance」が、山口県立萩美術館・浦上記念館にて、2024年3月24日(日)まで開催される。
舘鼻則孝(たてはな のりたか)は、1985年東京生まれのアーティストだ。歌舞伎町で銭湯「歌舞伎湯」を営む家系に生まれ、鎌倉で育った舘鼻は、遊女にまつわる文化研究とともに、友禅染を用いた着物や下駄の制作を行ってきた。なかでも、江戸時代の花魁が履いていた高下駄に着想した「Heel-less Shoes(ヒールレスシューズ)」は、レディー・ガガに愛用されるなど、世界的にも広く知られている。
山口県立萩美術館・浦上記念館の茶室を会場に開催される個展「Distance」では、屏風型の新作絵画《Descending Painting (Folding Screen)》を中心に、萩市の市花でもある「椿」をモチーフとした《Camellia Fields》、そして舘鼻の代表作「Heel-less Shoes」シリーズなどを展示する。
《Descending Painting (Folding Screen)》は、屏風型の支持体を5層重ねることで絵柄が完成する作品だ。同作では、室町後期から江戸期にかけて描かれた「洛中洛外図」を着想源としつつ、平面的な絵画に対して空間的な表現を開くことが試みられているといえる。
一方、《Camellia Fields》は、椿が地面を赤く彩る「落椿(おちつばき)」をモチーフとした彫刻作品であり、舘鼻が幼少期より過ごしてきた鎌倉の風景に着想を得ている。かつて鎌倉の武家屋敷では、椿が好んで植えられていた。これは、花弁が散らず花ごと落ちる椿を「潔い死」に見立てた、武士独特の死生観に由来するという。また、「落椿」は、椿を市花とする山口県萩市の風景にも重なるものとなっている。
さらに、会場では、舘鼻則孝の代表作「Heel-less Shoes」も展示。約1年間にわたる会期中、2か月ごとに6回の展示替えを行い、全6種の作品を紹介する。6月1日(木)より展示される《Baby Heel-less Shoes》は、「赤ちゃんがはじめて履く靴」であるファーストシューズに使用される木型を用いた作品であり、工程数や素材はそのままに「Heel-less Shoes」をスケールダウンして再現している。
舘鼻則孝「Distance」
会期:2023年4月8日(土)〜2024年3月24日(日)
会場:山口県立萩美術館・浦上記念館 本館 茶室
住所:山口県萩市平安古町586-1
開館時間:9:00~17:00(入場は16:30まで)
休館日:月曜日(祝日・休日は開館)、年末年始、展示替え期間
観覧料(普通展示):一般 300円(240円)、学生 200円(160円)
※( )内は20名以上の団体料金
※70歳以上・18歳以下、高等学校・中等教育学校・特別支援学校に在学する生徒は無料
※身体障害者手帳、戦傷病者手帳、療育手帳、精神障害者保健福祉手帳の提示者および介護者1名は無料
【問い合わせ先】
山口県立萩美術館・浦上記念館
TEL:0838-24-2400