企画展「ジョセフ・アルバースの授業 色と素材の実験室」が、千葉・佐倉のDIC川村記念美術館にて、2023年7月29日(土)から11月5日(日)まで開催される。
画家、デザイナー、そして美術教師として、ドイツとアメリカで活躍したジョセフ・アルバース。1888年ドイツに生まれたアルバースは、バウハウスで学び、のちに教師として基礎教育を担当した。1933年に同校が閉鎖すると、渡米してブラックマウンテン・カレッジやイェール大学で教育に携わり、戦後アメリカの芸術家を育成している。
アルバースは授業において、単に知識を教えるのではなく、学生が手を動かして考えることを促し、色彩や素材が持つ可能性を自ら発見させようとした。アルバース自身もまた、生涯にわたって探究を続け、ガラス作品、家具や食器のデザイン、そして絵画など、多岐にわたる作品を生みだしている。
企画展「ジョセフ・アルバースの授業 色と素材の実験室」は、アルバースの制作者と教師という両側面に光をあてる、日本初の回顧展。アルバースの作品を展示するほか、アルバースの授業を捉えた写真や映像、学生の作品など、国内初公開を含む絵画や関連資料など、約100点を紹介する。
ドイツ・ヴァイマールに創設された造形学校バウハウスに、アルバースは当初学生として学び、のちには教師として携わっている。アルバースは教師として主に、造形のための基礎演習を担当しており、この中で素材の性質を把握し、効率よく扱う方法を伝えることを重視した。本展の序盤では、アルバースがバウハウス時代に手がけたガラス作品などに加えて、学生が制作した作品なども目にすることができる。
1933年のバウハウス閉校後すぐ、アルバースはアメリカに創設されたばかりのブラックマウンテン・カレッジに招かれ、渡米している。同校はリベラルアーツ教育を志向し、芸術をカリキュラムの中心に位置付けていた。アルバースはここで、自然物を素材として課題に取り入れるなど、新しい取り組みを試みている。会場では、こうした課題の成果物を紹介するほか、アルバースがこの時期に取り組んだ抽象絵画など、のちの展開にもつながる作品に光をあてる。
1950年、アルバースはイェール大学に着任した。この頃からアルバースは、色彩への取り組みで知られるようになる。授業では、さまざまな色の錯覚を作りだすことで、学生たちは色彩をより正確に見て、選びだす経験を積むことになった。一方、制作においては、以後20年以上にわたって絵画シリーズ「正方形讃歌」を手がけ続けた。正方形のフォーマットに色彩を配置し、隣接する色同士が多彩な効果を示す同作は、色彩を移ろいやすいものと考え、その作用を動的に捉えようとするアルバースのアプローチが反映されている。本展の後半では、アルバースの画業を代表する「正方形讃歌」シリーズとともに、主著『色彩の相互作用』にも用いられた学生の作品を展示する。
企画展「ジョセフ・アルバースの授業 色と素材の実験室」
会期:2023年7月29日(土)〜11月5日(日) 会期中に一部展示替えあり
[前期 7月29日(土)~9月18日(月・祝) / 後期 9月20日(水)~11月5日(日)]
会場:DIC川村記念美術館
住所:千葉県佐倉市坂戸631
開館時間:9:30〜17:00(入館は16:30まで)
休館日:月曜日(9月18日(月・祝)、10月9日(月・祝)は開館)、9月19日(火)、10月10日(火)
入館料:一般 1,800円、学生・65歳以上 1,600円、高校生以下 無料
※障害者手帳の所持者および付添者1名は無料
【問い合わせ先】
TEL:050-5541-8600(ハローダイヤル)