展覧会「装飾の庭 朝香宮邸のアール・デコと庭園芸術」が、東京都庭園美術館にて、2023年12月10日(日)まで開催される。
東京都庭園美術館は、1933年、東京・白金台の御料地の一部を敷地に朝香宮邸として竣工した。約10,000坪におよぶ敷地の庭園部分には、広々とした芝生が広がるのみならず、日本庭園なども備わっていた。また、現在本館として使われている邸宅の中の壁面には、森林や庭園の風景が描かれており、室内にいながらにして自然の中にいるかのような空間となっている。
フランス人の装飾芸術家アンリ・ラパンが手がけたこれらの装飾画からは、朝香宮邸のコンセプトばかりでなく、当時のフランスにおける庭園芸術との関連性を窺い知ることができる。実際、朝香宮邸の装飾プランに大きな影響を与えたとされる1925年のアール・デコ博覧会では、「庭園芸術」が初めて独立した出品分類として設けられるなど、庭をいかにして装飾するかということは、当時重要視されつつあったのだ。
「装飾の庭 朝香宮邸のアール・デコと庭園芸術」展は、アール・デコにおける「庭園芸術」に光をあてる、日本初の展覧会。絵画や彫刻、工芸など約120点の作品を展示する本展では、両大戦間期フランスの近代庭園の展開をたどるとともに、「庭園」に着目して東京都庭園美術館の建築や空間をひもといてゆく。
20世紀初頭のフランスでは、それまでヨーロッパに浸透していた庭園様式、自然の景観美を重視するイギリス風景式庭園に対抗し、新しい庭園の造形と理念を構築することが試みられていた。こうした背景のもと、1925年のアール・デコ博覧会では、実験的、独創的な庭園が数多く披露され、30年代以降の欧米における庭園デザインに大きな影響を与えている。本展では、エキゾティシズムやキュビスムの要素を取り入れて展開した庭園芸術を、ロベール・マレ=ステヴァンスやル・コルビュジエなどの作例とともに紹介する。
朝香宮邸の装飾を手がけたアンリ・ラパンは、ルネ・ラリックといった芸術家とともにこのプロジェクトに携わり、全体の統括者としての役割を担うばかりでなく、自ら森林や噴水のある庭園風景を描いている。本展では、ラパンによるこれらの装飾壁画を紹介するとともに、朝香宮邸の装飾プランが成立するに至るまでの過程や背景にも光をあてる。
展覧会「装飾の庭 朝香宮邸のアール・デコと庭園芸術」
会期:2023年9月23日(土・祝)〜12月10日(日)
会場:東京都庭園美術館
住所:東京都港区白金台5-21-9
開館時間:10:00〜18:00
※11月17日(金)・18日(土)・24日(金)・25日(土)、12月1日(金)・2日(土)は20:00まで開館
※入館はいずれも閉館30分前まで
休館日:月曜日(10月9日(月・祝)は開館)、10月10日(火)
入館料:一般 1,400円(1,120円)、大学生(専修・各種専門学校含む) 1,120円(890円)、中・高校生 700円(560円)、65歳以上 700円(560円)
※日時指定の事前予約制
※( )内は20名以上の団体料金
※小学生以下、都内在住在学の中学生は無料
※身体障害者手帳、愛の手帳、療育手帳、精神障害者保健福祉手帳、被爆者健康手帳の所持者および介護者2名は無料
※第3水曜日(シルバーデー)は65歳以上無料
※10月1日(日)は開館40周年を記念して入館無料
【問い合わせ先】
TEL:TEL. 050-5541-8600(ハローダイヤル)