シンヤコヅカ(SHINYAKOZUKA) 2024年春夏コレクションが、2023年8月29日(火)に千駄ヶ谷・東京体育館にて発表された。
8月2度目となる満月が、間近に迫る東京の夜。ランウェイの舞台となるのは、(ほぼ)まん丸の月が煌々と輝く東京体育館の屋外の会場だ。コレクションノートには、まるで今夜の美しい月夜を予期していたかのように、「月が綺麗ですね。」の一言が添えられている。すっかりと秋の香りが漂う、心地良い夜風が吹き抜ける観客席。エレファントカシマシの楽曲を合図に、どこかエモーショナルな空気を醸すショーが幕を開けた。
「WONDERFUL WANDER」と名付けた今季のコレクション。デザイナーの小塚信哉が20代の頃から好んでいた“夜の散歩”を着想源に、そこで偶発的に出会った情景を、コレクションのストーリーとして膨らませていったのだという。
まずは“一枚の絵”を描くことから始めたという今シーズンは、小塚のドローイングを起点に、様々なプリントで溢れているのも特徴。街並みや、自分だけのお気に入りの場所、可愛い動物たち…そんな散歩の途中で目に留まった風景を描き出したようなプリントは、コレクションのメインモチーフとなり、ジャケットやパンツ、ジップアップコートに彩りを添えている。
夜の町中のネオンを映し出したようなジャケットには、路地裏で見かける、意味をなさない乱雑なドローイングを重ねて。また全面に手描きのメッセージを羅列したオーバーサイズのジャケットは、小塚が散歩中にふと思いついた言葉を、ランダムに記したものだという。
さらに今季は、ぴたっとしたレギンスをコレクション全体で取り入れているのも印象的。ブランドらしいビッグシルエットを引き立てる名脇役として、オーバーサイズのジャケットやトップスに差し込まれていた。
コレクションのキーカラーは、ブルーとゴールド。画家 イヴ・クラインを連想させるカラーコンビネーションかと思いきや、実は小塚が散歩中に片手に持っていた“某プレミアムなビール”の配色から着想を得たのだという。ラストにかけては、金のラメ糸で編み込んだカーディガンやパンツといったピースが会場を席巻。月夜の中でキラキラと反射する煌めきが、会場にちょっぴりエモーショナルな余韻をもたらしていた。