ミツル オカザキ(MITSURU OKAZAKI)の2024年春夏コレクションが2023年8月30日(水)に発表された。

夢と現実を彷徨って

「夢の中にいるみたい」。そんな文言から着想したというミツル オカザキの2024年春夏コレクション。現実なのに夢の中と言うのならば、それは現実なのか、夢なのか？そんな境界の曖昧さを全身に纏うかのようなルックが展開される。

ショーは小鳥の囀りと共に幕を開けた。ファーストルックは、布を繋ぎ留めたかのようにも衣服が切り裂かれたようにも見える不完全なパーツから成るセットアップ。裾やハットの先からはシルバーチェーンが無数に垂れ、まるで夢の森を彷徨うモデルに寄り添うように、その呼吸に合わせてかすかに揺れ動く。

幽体離脱するマテリアル

眠りから覚め切らず慌てて着用したような、“寝起き”のディテールも印象的。例えばビッグシルエットのTシャツは、前面のホワイトマテリアルと背面のブラックマテリアルを敢えてずらして縫い合わせている。黒い影から白い魂が抜け出したようなそれは、幽体離脱をも感じさせた。

さらに、ゆったりとしたスエットや開襟シャツ、リラクシングな生地感のシングルブレストスーツなど、パジャマスタイルをベースにしたルックが並ぶ。

『不思議の国のアリス』モチーフを散りばめて

また、眠っている間に繰り広げられる世界と聞いて思い出す、ルイス・キャロル作『不思議の国のアリス』のパーツも登場。薄手のニット生地にアリスの絵とレタリングを配したトップスや、白ウサギやマッドハッターのシルエットが星々と共に円形に刺繍されたハーフネックトップス等が、コレクションに遊び心を加えている。

夢の色

ブラックやホワイトなどのシンプルなカラーを得意とするミツル オカザキだが、今季はカラーリングまでもが夢の中。森の中から抽出したかのようなニュートラルなトーンや、子供のころ手に取った玩具を彷彿とさせるプレイフルなカラーブロックが存在感を放った。