アンダーカバー(UNDERCOVER)の2024年春夏コレクションが2023年9月27日(水)にフランス・パリで発表された。タイトルは「Deep Mist」。
スモークがたかれ、周囲が霞んで見える幻想的な会場。ランウェイには布がかけられたシャンデリアが置かれ、夢幻的なムードをよりいっそう高めている。そんな夢の中にいるような空間で発表された今シーズンは、会場の雰囲気と呼応するように、幻影のようにおぼろげで神秘的なムードを纏っているのが特徴だ。
まず最初に注目したいのは、シアー素材を重ねたアイテム。テーラードジャケットやトレンチコート、フーディーなどコレクションを構成するあらゆるアイテムに透け感のある素材を重ね、輪郭を曖昧にした。花柄のセットアップには、ブラックのシアー素材を重ねることで、まるで影を纏っているようなユニークなルックスに仕上げている。
今季はドイツの画家、Neo Rauchによるダイナミックな作品を落とし込んだピースも登場。宗教画を思わせる神秘的な絵画をコートやシャツに大胆にデザインし、作品のもつ力強さを際立たせた。ビッグシルエットのシアーシャツは、素材のもつ繊細な表情と相まってよりいっそう幻想的な佇まいに。
アンダーカバーのデザイナー・高橋盾が手掛けた、“目のない肖像画”の油絵をモチーフにしたスカートも目を引く。平面的な油絵をボリューミーなラッフルを使うことで立体的に表現したユニークな1着だ。
ショー終盤には、バラの花々が咲き誇るドレスがランウェイを席巻。立体的なバラのコサージュや蜘蛛の装飾が施されたドレスは、花束を携えているようなインパクトのあるデザインが印象的。ラストは、本物の花が咲き誇る中で蝶がひらひらと舞う、アートのようなドレスで締めくくり、観客を魅了した。